元外交官が警鐘を鳴らす「日本の存立危機事態」- 高井総理への厳しい視線
「国家公務員として国に仕えてきた身として」
選挙戦残り4日。元外交官の孫崎享さんが、YouTubeで異例の声明を発表しました。
「私は本当に強い危機意識を持っています。報道されるように、このまま自民党が大勝するといったようなことになると、それこそ台湾有事のところで大きな問題になりましたけど、日本の存立危機事態であるとすら思っています」
国家公務員として長年日本の外交に携わってきた孫崎さん。その経験から見て、今回の選挙結果が「国家の危機」につながると断言します。
「こんなことをYouTubeで申し上げるのは、私自身躊躇したところがあります。国家公務員として国に仕えてきた身からすればね。だけど私は国家の危機だと思う」
なぜここまで強い言葉を使うのか。孫崎さんは2つの大きな理由を挙げました。
理由1:総理としての資格への疑問
第一の理由は、高井総理個人の資質についてです。
「私はこの選挙期間中の高井総理の行動を見ていて、この方は申し訳ないけど総理の資格がない、資質がないという風に思いました」
孫崎さんは、中曽根さんや小泉さんなど、多くの日本の総理大臣に仕えてきました。また諸外国の首脳とも多数交渉してきた経験があります。
「自分の発言について、その全てのことを考えて計算づくで発言していない首脳なんていないですよ。だって首脳の発言っていうのは国を変えちゃうわけだから」
台湾有事「存立危機事態」発言の問題
高井総理が台湾有事を「存立危機事態」と発言したことについて、孫崎さんは厳しく批判します。
「それを言った結果、中国との関係がどうなるかっていうのは当然分かっていたはずですね。もし分かってなくて発言するとすれば、それは申し訳ないけど総理としての資格がないということになるわけですね」
おそらく岡田さんとの議論の中で、勢いで言ってしまったのだろうと孫崎さんは分析します。
そしてあの有名なシーン。空母の上でトランプ大統領の横で、両腕を振り上げて「関税撤廃だ」と言いながらガッツポーズした姿。
「じっとしてられないという性格なんでしょうね。だから総理大臣の行動としてはものすごく危ういということだと思うんですよ」
円安「追い風」発言の無責任
さらに、円安で外貨準備特会にお金が入ってきて「追い風だ」と発言したことも問題視します。
「円安についてメリットもデメリットもある。輸出産業が潤うとか、外貨特会にお金が入ってくるとか、そういうことはもちろんある。それは当然のこと」
「だけど今の時期っていうのは、円安にどんどんなってくことに歯止めをかけなきゃいけないという時期じゃないですか?それなのに、ああいうことを言うということが、やっぱり総理大臣としての見識のなさ、総理大臣としての資質のなさだという風に思わざるを得ない」
NHK討論番組欠席の問題
決定的だったのは、NHKの討論番組を欠席して、治療を受けたと言いながら、その後選挙応援演説に行ったこと。
「『高井総理で良いか』ということを国民の前で試すのが討論じゃないですか。だけど特定の人の前で、選挙演説を持つ方を選んだわけですね」
選挙演説の動画を見れば、右の手も左の手も振り上げている。「ものすごく大きな違和感を感じる」と孫崎さん。
「高井さんが嘘をついて、討論に参加したくなくて欠席したとは思いたくないですよ。もちろんね、総理大臣ですから。だけど最近の報道では、2日前に討論を欠席するために色々画策してたという官邸のリークという風に書いてある雑誌の報道もある」
「総理大臣って日本国全体が見てるわけですよね。だからそういうことを平気でやるという人に、総理大臣の資質があるか聞かれたら、私はないと思う」
発言が勢いで出てしまう。全体がどうなるか考えないで発言してしまう。調子に乗って腕を振り上げて、それがどういう印象を世の中に与えるか、全く考慮の中にはない。
「こういう行動を取る人に総理大臣の資質があるかないですよと、私は思わざるを得ない。断じざるを得ない」
理由2:政策が招く国家の危機
第二の理由は政策です。高井さんが「国を二分するようなことについてやってくんだ」と述べて選挙に臨んでいます。
積極財政という名のばら撒き
一つ目は、いわゆる積極財政です。
「赤字国債が積み上がるっていうのは防がなきゃいけないという意識はあっても、結果的には膨張財政になるのは目に見えてる」
消費税の2年間停止にも財源が要る。防衛費の増大にはもっともっと財源が要る。
「一種の膨張財政、規律がない支出というのが、もうすでにマーケットは嫌だと言ってるわけですね」
マーケットは何が起こるかというと、日本の膨張財政に対して円が売られる。円がどんどん弱くなり、円安になっていく。
円安になってくると国債の利子を上げなきゃいけない。長期金利が上がっていく。その結果として、国債市場に一種のパニックになると同時に、日本は食料を買い油を買っているわけだから、円安は結果的に日本のインフレ圧力になっていく。
「そういうマーケットの判断があるにも関わらず、これを止めようとしない。責任ある積極財政という名のもとに、ばら撒きを続けていけば、そうなりますよ。だからそれは日本にとって極めて有事事態であるという風に思う」
憲法改正への危惧
最近になって言われているのは憲法改正をしたいと。
「憲法改正、私は頭から反対って言ってるわけじゃありません。だけど憲法っていうのは、これまでの憲法秩序ですね、日本の憲法秩序を変えるわけだから…」
孫崎さんは、憲法改正そのものに反対しているわけではない。しかし、その内容と進め方について、深い懸念を持っています。
元外交官の覚悟
「国家公務員として国に仕えてきた身からすれば、こんなことをYouTubeで申し上げるのは躊躇したところがあります」
それでも孫崎さんが声を上げたのは、「国家の危機だと思う」から。そういう方が引き続き総理大臣をやっているということについて、「やっぱり私は国家の危機だという風に思う」と繰り返します。
個人の資質の問題と、政策の問題。この2つが重なって、日本は「存立危機事態」に向かっているという警告です。
中道の観点から考える
この孫崎さんの警告は、非常に重い内容です。特に外交の最前線で長年働いてきた元公務員が、ここまで明確に現職総理を批判するのは極めて異例です。
しかし、中道の視点から考えると、いくつかの論点を冷静に整理する必要があります。
発言の重みと冷静な評価
まず、孫崎さんが指摘する「台湾有事を存立危機事態と発言したこと」については、確かに日中関係への影響は大きいでしょう。しかし、台湾情勢が緊迫化している現状で、日本の安全保障をどう考えるかは、単純に「言うべきではなかった」では済まない複雑な問題です。
「総理の資格がない」という断定は強い言葉ですが、一方で国民はそれを選挙で判断する権利を持っています。討論番組欠席の問題も確かに疑問が残りますが、真相は分からない部分もあります。
積極財政をどう見るか
積極財政についても、意見は分かれます。確かに財政規律は重要ですが、経済学者の中にも「今は財政出動の時期だ」と主張する人もいます。
円安のリスクは孫崎さんの指摘通りですが、デフレから脱却し、賃金上昇を実現するためには、一定の財政支出も必要だという意見もあります。
どこまでが「責任ある積極財政」で、どこからが「無責任なばら撒き」なのか。その線引きは専門家の間でも議論が分かれています。
憲法改正の是非
憲法改正についても、孫崎さんは「頭から反対しているわけではない」と言っています。問題は、何をどう変えるのか、そのプロセスは適切か、という点です。
憲法9条を守るべきだという意見も、時代に合わせて見直すべきだという意見も、それぞれに根拠があります。
バランスの取れた判断を
孫崎さんの警告は、長年の外交経験に基づく重要な指摘です。特に「首脳の発言は国を変える」という原則、「総理は計算づくで発言すべき」という指摘は、傾聴に値します。
しかし同時に、我々有権者は一つの意見だけを鵜呑みにするのではなく、様々な角度から情報を集め、自分の頭で考える必要があります。
高井総理を支持する人には支持する理由があり、批判する人には批判する理由がある。どちらか一方が100%正しいということはありません。
重要なのは、感情的にならず、事実を冷静に見極め、日本の将来にとって何が最善かを考えることです。
孫崎さんの「存立危機事態」という強い言葉は、私たち有権者に対する警鐘です。しかしそれをどう受け止め、どう判断するかは、最終的に私たち一人ひとりに委ねられています。
選挙は民主主義の根幹です。様々な意見に耳を傾け、バランスよく判断し、一票を投じる。それが私たちにできる、最も重要な行動なのではないでしょうか。
参考URL
- 元動画: https://www.youtube.com/watch?v=1ws73mGbffU

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