東京24区ネット討論会 – 5人の候補が激突、政策の違いが浮き彫りに
真冬の衆院選、Zoomで実現した本格討論
2026年1月27日公示、2月8日投開票の第51回衆議院議員選挙。36年ぶりとなった真冬の衆院選で、東京24区(八王子市)の候補者5名が一堂に会し、ネット討論会が開催されました。
会場はZoom。選挙戦で忙しい候補者たちが、リモートで参加する形式です。
司会者が最初に確認したのは、各候補の夕食。
「細屋さん、ご飯は食べましたか?」
「まだ食べてないです。勝ちたいという思いも込めて、とんかつ食べたいですね」
「倉さん、何食べました?」
「お昼は硬焼きそばを食べました」
こんな和やかなやりとりから始まった討論会は、その後、安全保障、TSMC補助金、選挙制度改革など、鋭い質問が飛び交う本格的な政策討論へと発展していきます。
5人の候補者、それぞれの背景
まずは自己紹介。1分ずつ、名前・所属政党・これまでの仕事・立候補理由を語りました。
細屋りと(国民民主党)
「私は中小企業で人事の担当者を務めておりました。主に採用担当でしたり、労務管理等を担当しておりまして、企業での労働環境の整備など主に行っております」
八王子に30年間住み続けてきた細屋さん。地域の課題が解決されず、困り事を多く抱えている人の声を聞いてきたといいます。
「国民民主党が対決より解決を訴えている政党です。だからこそこの地域、東京24区八王子の課題を解決したい」
細屋さんが特に強調したのは、交通インフラの問題。郊外の地域のバスが減便されたり、本数が少なくて困っている人が多い。この問題を解決したいと訴えます。
倉さゆり(参政党)
「主に介護現場で、介護現場や幼児教育の仕事に携わってきました」
倉さんが現場で感じたのは、保育園に生まれたばかりの子どもが朝から晩まで週5日預けられてしまっている現実。
「それはやはりご両親が共働きをしなければならない。働きをしなければ家を支えていくことができない社会の仕組みがある」
介護の現場でも、お給料が安くて待遇が全くいいとは言えない状態。
「こういった制度ルールを決めているのはやはり政治家の、現場を知らない政治家の方が決めてきたからだと思い、こういった労働環境ですとか幸せをもっと増やしていきたい」
倉さんの問題意識は、0歳児保育への懸念にも及びます。「3歳以下の子が、自分の意思もまだ伝えられないのに週5日ということで、お母様やお父様から離れて暮らすということは本当に愛情が欠除してしまう、そういったデータもあります」
司会者が「週5日預けるのはそもそも悪いんでしたっけ?」と問うと、倉さんは「0歳の子がですね、やはり自分の意思もまだ伝えられない子どもが週5日、お母様やお父様から離れて暮らすということは本当に愛情が欠如してしまう。そういったデータもありますので、なるべくどちらかの保護者でしっかりと愛情を育てていって欲しい」と答えました。
司会者は「愛着形成に関してはね、色々な研究ありますんで、倉さんの意見も参考にしつつ、いろんな意見を参考に皆さんですね、調べていただければと。なかなかこう研究によって違うデータですんで、そこら辺はいろんな意見を参考してください」とコメント。
福田萌え(無所属)
「早稲田大学卒業後、外資系の金融機関に従事し、その後IT企業家として起業いたしました」
福田さんが政治活動として訴えてきたのは、技術流出問題。
「この我が国の技術が台湾や中国に流出している。そのことをですね、自民党の先生方に訴え続けてきたんですけれども、散々無視をされてきてしまいましたので、だったらもう自分でこの国を守ろうと立候補することにしました」
司会者が「どんな技術がどうやって流出してるんですか?」と質問すると、福田さんは具体的に説明します。
「半導体技術であるとか、最先端のIT技術がですね、開発の過程で取引先を通ったり、あるいは開発の下請けに入ってきたり、そういった形で外国の方が入り込んでいる。あるいはその日本人に成りすました外国の方が、その技術情報、本来だったら輸出規制にかかっているような技術を中国、台湾に流出させている、こういう問題があります」
萩田光一(自由民主党)
「国政に行って7期22年仕事をしてまいりました。文部科学大臣や経済産業大臣、そういった仕事もさせていただく中で、日本の可能性ってまだまだあるな」
萩田さんが強調するのは、教育改革。
「元より資源に乏しい我が国が人と技術で国を起こしてかなきゃいけないという問題意識を持ってますので、教育行政誰よりも熱心に頑張ってきたつもりです。これからも人作りを大きなテーマに努力をしていきたい」
司会者が「人作りに関して今日本で最も足りてない課題だなと思うことは何でしょうか?」と問うと、萩田さんは即答します。
「人作りというよりはもうとにかく世の中がこんなに変化をしてるのに、昔と同じ学びをずっと続けることに限界があると思います。思い切って大学教育、高校教育のカリキュラムを変えてかないと、社会変化に対応できるそういう人材育成ができないと思ってますので、そのことに力を注いでいきたいと思います」
細川優(中道改革連合)
「私は国会議員の秘書として、そして区議会議員として、東京都議会議員として働いてまいりました。現在32歳でございます。ここ八王子市で生まれて育ってまいりました」
細川さんが掲げるのは、「暮らしと平和」。
「この町の、そしてこの国の政治、そして社会、暮らしをしっかりと豊かにしていきたい、変えていきたいと思っております」
司会者が「日本の平和、今一番何が脅かされてるんですか?」と問うと、細川さんは答えます。
「そうですね、今、全体として右傾化が進んでるかと思います。この日本が平和を世界でもリードできるような、そういった平和を希求する、そういった政治が必要だと思っております」
衆議院議員になったら何をするか – 5人の答え
自己紹介の後、各候補に「衆議院議員になったら最もやりたいこと、なさねばならないと思っていること」を1分で聞きました。
倉さゆり – 教育と労働環境の改善
「私も9年間アメリカに住んでいたんですけれども、やはり帰ってきてから多くの日本人の多くの方々が自分に自信がない、誇りがない、日本人としてのそういった誇りを持てていないことに大変気づきました」
倉さんが指摘するのは、日本語がカタカナ英語化していること。
「本当に教育を、全ての問題が教育に携わっているので、教育を正していって、子供、特に子供たちが日本人として生まれて良かったなと思えるようなそういった誇りを持てるような教育をしっかりと行っていきたい」
そして労働環境の改善。「人でなければできないような、そういった職業に対してやはり今金融関係のお仕事の給料がいいので、しっかりとお給料の改善ですとか労働環境の改善」
さらに自然保全にも力を入れていきたいと語ります。
福田萌え – 政党政治の打破
福田さんの主張は鋭い。
「この国が政党政治によって完全に支配されていて、国民の声が全く議会に反映されていない。その問題を解決したいと思ってるんですよ」
その要因として、福田さんが指摘するのは、政党に所属している国会議員が政党の党議拘束に縛られていること。
「普段は減税しようって言ってても、増税決議の時に賛成票とか投げてるんです。でも党の言いなりにならないと除名されるから仕方がないんだよねって平気で言うんですよ」
「なぜ彼ら除名されるのが怖いかって言うと、無所属になると選挙ものすごい不利なんですよ」
福田さんは具体例を挙げます。
「自民党さんって今YouTube広告ガンガンつけていて、もう高井総理の広告YouTube1億回とかも行ってるじゃないですか。ああやって広告打つと我々無所属はあれ違法なんですよ。犯罪になっちゃうわけですよ。で、政見放送もないわけです」
「だからそうやって政党候補者と無所属の間に差を設けてるから、無所属になるのが怖いってなって皆さんね、黙りになっちゃう。そういう国会議員の言論の自由、国会議員を弾圧する政党政治を打破したい。そのために選挙制度を変えたいと思ってるんです」
萩田光一 – 自己完結できる国家へ
萩田さんは、目指すというよりは「続けてやらなきゃならないことがたくさんある」と語ります。
「特に私は、日本って国は自己完結できる、自分たちで自立をした国家にしていかなきゃいけない問題意識持ってます」
その背景にあるのは、コロナの経験。
「コロナの時にサプライチェーンが海外にあまりにも依存してることが顕著になりました。国内はこんなに脆弱だったのかっていう、そういう問題意識を持ちました。だからマスクがないとか消毒液がないとかそういう事態で国民の暮らしが守れない」
「やっぱり国内でちゃんとまずは自己完結できて、その上で海外とのサプライチェーンのお付き合いをするっていう順序をきちんと変えようということを今までも呼びかけて少しずつ改善してきました」
「国民の皆さんの暮らしを守る上で、日本という国が何があっても皆さんの暮らしが守れる。そういう強靭な国にしていきたいと思ってます」
細川優 – 物価高と平和
「今物価高で多くの方が暮らしに困ってるかと思います。5年後、10年後だけではなくて、近い将来も見通せない、そういう暮らしをされている方がいらっしゃると思います」
細川さんが掲げるのは「生活者ファースト」。
「この国に住む方々が安心して暮らせる、そういった社会を作っていかなくてはならないと強く思っております。そしてその暮らしを守っていくためには、大前提として平和が必要で、今この国がどういった方向に行くか、様々な危機感を覚えておりますが、私としましては、平和は絶対と思っている、そういったところでございます」
細屋りと – 3点セットの政策
細屋さんは、3点セットで取り組みたいことがあると語ります。
1点目:交通インフラの整備
「やはりバス等がですね、将来的には運転手不足にもなりかねないという状況ございますので、やはりコミュニティバスを国からちゃんと拡充をしていく、さらにデマンド交通、乗り合いタクシー、それから自動運転等の拡充をしていくべきだと考えております」
2点目:空き家対策
「今八王子市内3万5000個ほど空き家があると言われておりますが、今税制的にですね、空き家を残していた方が税金が安くて、空き家を解体した方が高いなどという問題もありますので、やはり税制面の問題を是正していきたいと思います」
3点目:防災インフラの整備
「八王子、浅川、南浅川の川が氾濫しやすい、水害に弱い街が有名でございますので、やはりこの水害対策というのは遊水池の設置など積極的にやっていきたいという風に考えております」
白熱の質疑応答 – 細川候補への安保政策転換の追及
ここから質疑応答。最初に手を挙げたのは、国民民主党の細屋さんでした。質問の相手は、中道改革連合の細川さん。
「平和という話ありましたが、今、中道の政策、安全保障賛成、それから原発賛成になっていますが、細川候補の私は行動を見ている中で、市民団体が行っていた『脱原発平和アクション』などにも参加されていて、これは安保法制反対だったと思うんですけれども、いつからその考え方がスライドされたのか、是非ですね、こちらをお伺いしたいと思います」
鋭い質問です。細川さんは元々立憲民主党に所属していました。そこから中道改革連合に移り、政策も変わったのではないか、という指摘です。
細川さんは答えます。
「多くの方が、この点聞かれる、気になってるところかと思います。私元々立憲民主党に所属しておりましたので、安保ってところで言うと、なかなか違う考えを持っていましたですが、皆さんが思ってる以上に私の中でギャップはないと言いますかね」
「この中道改革連合というのは、平和でこの武力によって現状変更はしない、専守防衛の思想でありますので、皆様が色々気になるとは思うんですけども、私のこの平和な国を作っていこうというところは、何も変わっていないところでございます」
しかし細屋さんは引き下がりません。
「具体的にだいぶスタンス変わられていると思うんですけれども、具体的にですね、なぜその安保法制賛成に転換されたのか、もう少しちょっと中身を込めてお話しいただければと思います」
細川さん「ですから私のスタンスとしては、変わってないです。もちろんその、具体的な安全保障っていうところで言うと、結論はちょっと違うかもしれませんけども、この平和への道っていうところで言うと、私は全くもって変わっていない」
「そもそも、この自衛権というのは、この国を守っていくっていうのは、どこの国でも守られてる権利ですので、この自衛権をどこまで決めていくか、それに尽きると思います」
司会者が介入します。「具体的に変わったとこはどこなんですか? 有権者が知りたいのは、これ僕言ってんのはなんか公約と違うこと言ってみたいの揚げ足取りたいわけじゃなくて、別に大きな政党で全員に関しては別に合成必要ないと思うんですけど、細川さんがどのようにお考えで、具体的に変わった点を是非30秒教えてください」
細川さん「変わった点で、そういった意味では変わってはないんですよ。で、その私が今まで、安保に対しての姿勢と、これからの中道改革連合の姿勢というところで言うと、変わらないです。ただ、最後ではじゃあ安保を認めるかどうかってところで、そこが違いという形です」
細屋さんは、さらに踏み込みます。
「集団的自衛権については賛成なのか反対なのか、こちらをちょっとお伺いしたいですね」
細川さん「そうですね。この集団的自衛権ってというところで言うと、この自衛権を守っていく、この行使っていうところでは、合憲だと思っております」
細屋さん「スタンスとしておそらく今まで違憲だという風に立憲さんおっしゃられていたと思いますので、そこが今合憲になったというのは私はこれだいぶ説明しなきゃいけないことだと思いますので、その点は申し上げさせていただければと思います。以上です」
政策転換の理由を明確に説明できるか。立憲民主党から中道改革連合への移籍は、単なる看板の掛け替えなのか、それとも信念に基づく変化なのか。有権者にとって重要な問いです。
TSMC補助金をめぐる議論 – 福田vs萩田
次に福田さんが、萩田さんに質問します。テーマは、台湾の半導体大手TSMCへの補助金。
「日本のサプライチェーンについて手こ入れをされているということなんですけれども、日本国内で半導体に力を入れていただいてるんですけれども、TSMCばっかりにお金を入れるっていうのは、それはなぜだったのかなっていうのと、あとはプリント基板ですとか液晶なども私たちの国、国内で作れなくなりつつあるんですけど、そういったところはいかがなんでしょうか?」
司会者が前提知識として確認します。「TSMCにいくらぐらいの補助金を渡してて、それがなぜ疑義があるのか、福田さんからちょっと詳しく聞いてから萩田さんに聞きたいと思うですけど、いくらぐらい渡って、それがなぜ疑義があるという風に思うのか教えてください」
福田さん「疑義があるというよりかはですね、1兆3000億円っていう日本のその、我が国が始まってからいきなり1兆3000億円もの補助金がですね、外国企業にドンと出されたっていうのが、これ歴史的に振り返ってもないことなんですよ」
「で、私もずっと日本の半導体産業復興して欲しいなと思って色々していたんですけれども、日本にはですね、いろんな半導体工場あるんですね。そうやって数ある日本の半導体企業たくさんある中で、そういった日本の土着の企業よりも外国の企業を選ばれたのはどうしてなのかなと思いました」
萩田さんの答えは、明快です。
「TSMCという海外企業に支援をしたんではなくて、あくまでジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)という日本企業に対して補助したというのが正解なんですね」
「そしてあの時には27ナノ以下の半導体は国内で作っていないという状況がずっと続いていました。国内の様々な半導体企業の皆さんにも様々な応援はしてきましたし、これからもしてきますけれど、まずは国内でその先端半導体を確保しなきゃなんない。また次世代半導体の開発をしなきゃなんない」
「そこに技術を持った会社を誘致をして、日本企業と協力をしながら、是非国内で生産できる環境を作りました。この会社にお金を出すことは結果として様々な半導体を必要としてる企業の皆さんに半導体供給ができるんで一番の早道なので、国民の皆さんの税金を使わせていただいたということです」
福田さんは、さらに追及します。
「そうやって、日本のサプライチェーンのために27ナノがなかったということなんですけども、実は2009年にエルピーダメモリがですね、22ナノの半導体の開発を行っていたんですけれども、その、それはどうしてそれが台湾に行ったものが日本に帰ってくるのに1兆3000億円もお金を払うのはちょっとどうしてなのかなって私は疑問に思ったんですけど、その辺りはどうなんでしょうか」
萩田さんは、過去の政策の誤りを率直に認めます。
「ご案内の通り、1980年代、日本の半導体企業ってのは世界の市場の半分以上占めてました。日本企業の皆さんもそれぞれ研究開発続けてましたけれど、その時はやっぱり国内で無理に国内で作らなくても海外で調達できるという判断を当時はしたんだと思います」
「私、当時経済産業大臣として国会でそのことを謝罪をしました。これは政策の誤りだったと。やっぱり国内で作り続けるべきだったということは反省をしてます。当時はそういう判断があったんだと思います」
技術流出を防ぎ、国内産業を守る。その重要性を、萩田さんは身をもって学んできたのです。
八王子の課題 – 交通インフラと空き家
各候補に「八王子で活動してきたから見えてきた国政上の課題と解決策」を聞きました。
萩田光一 – 国とのパイプが細かった時代
「やっぱり細屋さんもおっしゃってましたけれど、八王子ってあの、国とのパイプが非常に細い時代が長く続きました。その時に色々なことが決められてきて、そのツケというものをなんとか今回収しなきゃならないっていうのが今の八王子の実情です」
「本来でしたら2桁国道16号とか20号っていうのはもう国が率先して整備するべき幹線道路なんですけれども、これの整備すら遅れてるんで、この遅れを取り戻すために今まで努力をしてきました。かなりの時間も費やしました」
「こういったその都市基盤の整備、やっぱり西の玄関口として57万の皆さんが生活するのにふさわしい安心安全な街づくりっていうのは急務だと思ってまして、これはあの1つ大きな課題だと思ってます」
細川優 – 日本全国の問題の縮図
「八王子は、この都心部ではないというところで、多くのこの問題が集約されてるかと思います。人口が緩やかに減っていって、それこそ40年前ぐらいに山を切り開いて多くの方が家を立てましたですが、今は、お子さんが外に出て、先ほど細屋さんもおっしゃっていましたが、人が減ってきたところによって、公共交通の足が、原便、バスの減便であったりとか、そういった問題が出てきてしまってると」
「今この八王子の問題がですね、この日本全国の問題に通じるところだと私は強く思っています」
細屋りと – 孤立する高齢者
「やはり郊外に回ればそれこそバスがなくて、歩いて30分かけて病院に行かなければいけない。さらにはバスの乗り継ぎがうまくいかなくて、スーパーマーケットに買い物行くにもそれこそ車がないと移動ができない。だからこそ免許ですね、高齢者の方が返納できないんだという切実な声も頂いております」
「やはり交通インフラの整備をしっかりやっていかないと、八王子の中でもですね、それこそ孤立をしてしまう方が出てくると考えておりますので、私はとにかくですね、この交通インフラちゃんと整備をする。で、民間会社に今バス会社等にほぼ委ねている状態ですので、やはり国からも適切に予算を下ろした上で、しっかりと不採算路線であっても守っていく、ケアをしていく、そのことを訴え続けていきたいと思っております」
倉さゆり – 空き家を文化の拠点に
「八王子の課題についてですけれども、やはり際立って見えるのが少子高齢化と格差社会、そして空き家ではないかと思います。なので抜本的な子育て支援ですとか、こういった経済対策にしっかり力を入れていかなければ、若い世代も早く結婚して子供が産みたいなと言葉になかなか言い出せない。そういった環境になってしまっているので、国がしっかりと支援していく」
そして空き家については、ユニークな提案。
「高層マンションはどんどん立っているんですけれども、空き家はそれでは改善できないので、私は独自のこだわりのある八王子の街づくりとして、例えば鎌倉のような、古い古民家をリノベーションして、伝統文化があるので、そういったお店をより1個1個の店を拡充していく。こだわりにあるお店を作っていけたら文化も残せるのではないかなと思います」
政策比較表で見える違い
討論会では、事前に各候補に送った政策アンケートの結果を一覧表にして比較しました。
物価対策
- 細屋:減税で手取りを増やす
- 倉:減税と積極財政
- 福田:円安ストップ
- 萩田:物価高に負けない賃上げ
- 細川:今年秋までに食料品消費税0
原発政策
「原発は0を目指すべきですか?」
- 細屋:×(0を目指さなくて良い)
- 倉:×
- 福田:○(0を目指すべき)
- 萩田:×
- 細川:○
原発再稼働についても質問。
- 細屋:○(賛成)
- 倉:○
- 福田:△
- 萩田:まず最初から
- 細川:×(反対)
企業団体献金
「企業団体献金を認めるべきですか?」
- 細屋:○
- 倉:×
- 福田:×
- 萩田:○
- 細川:×
政治資金収支報告書の公開
「1件5万円未満の領収書も公開義務化すべきですか?」
- 細屋:○
- 倉:×(高額に関してのみ示して伸ばす)
- 福田:○
- 萩田:○
- 細川:○
選挙制度改革
「選挙制度(小選挙区比例代表並立制)を変えるべきですか?」
- 細屋:○
- 倉:○
- 福田:○
- 萩田:○
- 細川:どちらとも言えない
4人が「変えるべき」と答える中、細川さんだけが「どちらとも言えない」。現行制度にも一定の評価をしているのでしょうか。
座右の銘で見える人間性
討論会の最後、各候補に「座右の銘」を30秒で聞きました。
細屋りと – 「侃侃諤諤」
「座右の銘は侃侃諤諤(かんかんがくがく)という言葉でして、正しいと思う意見を相手にその遠慮することなく堂々と主張をして、激しく議論をし合う様子を表す四字熟語でありますが、私はそのやはり激しく議論をすることで、より良い結論を導き出せると思っておりますので、この言葉を大切にしております」
対決より解決を掲げる国民民主党らしく、しかし議論は徹底的にする。その姿勢が表れています。
倉さゆり – 「人間万事塞翁が馬」
「人間万事塞翁が馬でございます。やはり人生においてですね、良いことがあっても悪いことがあっても、それが後々どうなるか分からないので、一喜一憂せずに常に冷静な判断ができるような、そういった心持ちでいたいなと思っております」
現場で様々な経験を積んできた倉さんならではの言葉です。
福田萌え – 「至誠天に通ず」
「至誠天に通ずでございます。誠意を持って事に当たれば、必ずや天に通じる。どんなに困難な状況でも、誠実に、真摯に取り組んでいけば、必ず道は開けると信じております」
無所属で厳しい選挙戦を戦う福田さん。その信念が伝わってきます。
萩田光一 – 「継続は力なり」
「継続は力なりです。7期22年やってきましたけれど、やっぱり続けることで見えてくるものがある。そして続けることで成し遂げられることがある。地道に、着実に、一歩ずつ前に進む。それが大切だと思っています」
文部科学大臣、経済産業大臣を務めた経験。その積み重ねが、萩田さんの強みです。
細川優 – 「初心忘るべからず」
「初心忘るべからずでございます。私は32歳、若輩者ではありますが、この八王子で生まれ育ち、この街を良くしたい、この国を良くしたい、その思いを忘れずに、常に初心に立ち返りながら、謙虚に、そして誠実に政治に取り組んでいきたいと思っております」
秘書から区議、都議、そして国政へ。順調に見えるキャリアの中で、謙虚さを忘れない。その姿勢を示しました。
中道の観点から考える – 討論会が示した民主主義の本質
約2時間にわたる討論会。5人の候補者それぞれが、信念を持ち、政策を訴え、時に激しく議論を戦わせました。
この討論会から見えてくるのは、民主主義の本質です。
政策の違いを明確にする
原発政策、安全保障、企業団体献金、選挙制度改革。様々な論点で、候補者の考えは分かれます。
細屋さん・倉さん・萩田さんは「原発ゼロを目指さない」。福田さん・細川さんは「原発ゼロを目指す」。
企業団体献金については、細屋さん・萩田さんが「認めるべき」、倉さん・福田さん・細川さんが「認めるべきでない」。
どちらが正しいのか。それは有権者が判断することです。しかし、判断するためには、まず違いが明確でなければなりません。
この討論会は、その違いを明確にしました。政策比較表を見ながら、各候補の立場を確認できる。これこそが、有権者が求めている情報です。
相手の主張を直接問う
細屋さんが細川さんに「安保政策の転換について説明してください」と問う。福田さんが萩田さんに「TSMCへの補助金について説明してください」と問う。
質問する側も、答える側も、真剣です。逃げることもできません。Zoomで全国に配信されている討論会。その場で、即座に答えなければなりません。
細川さんは、安保政策の転換について明確な説明ができたでしょうか。「平和への道は変わっていない」と繰り返しましたが、「集団的自衛権は合憲」という結論に至った理由は、十分には説明されませんでした。
一方で、萩田さんは、TSMC補助金について、過去の政策の誤りを率直に認めました。「国内で作らなくても海外で調達できるという判断をした。これは政策の誤りだった」。この謙虚さと誠実さは、評価されるべきでしょう。
地域の課題を国政につなぐ
八王子の交通インフラ、空き家、街づくり。一見すると地域の課題ですが、これは日本全国の課題でもあります。
細川さんが指摘したように、「今この八王子の問題がですね、この日本全国の問題に通じるところ」なのです。
人口減少、高齢化、公共交通の衰退、空き家の増加。これらは、日本全国の地方都市が抱える共通の課題です。
八王子で、これらの課題にどう取り組むのか。その答えは、日本全国の地方都市のモデルになる可能性があります。
国政と地方政治は、切り離せません。地域の課題を解決するためには、国の制度を変える必要がある。その視点を持った候補者が、国政で活躍することが求められています。
極端に走らず、対話を続ける
5人の候補者の中には、極端な主張をする人はいませんでした。
倉さんの「0歳児保育への懸念」は、一部で議論を呼ぶかもしれません。しかし、司会者が「愛着形成に関してはね、色々な研究ありますんで、倉さんの意見も参考にしつつ、いろんな意見を参考に皆さんですね、調べていただければ」とコメントしたように、これも一つの意見として尊重されるべきです。
福田さんの「政党政治打破」も、既存の政党からすれば極端に見えるかもしれません。しかし、無所属候補が直面する不公平な選挙制度への問題提起として、傾聴に値します。
細川さんの安保政策転換については、細屋さんから厳しい追及を受けました。しかし、人格攻撃ではなく、政策の説明を求める質問でした。
このように、政策の違いを認め合い、しかし互いを尊重し、対話を続ける。それが、民主主義の基本です。
「侃侃諤諤」の精神
細屋さんの座右の銘「侃侃諤諤」。正しいと思う意見を遠慮することなく堂々と主張をして、激しく議論をし合う。
この討論会は、まさにその精神を体現していました。
安全保障政策、TSMC補助金、原発、選挙制度。様々な論点で、候補者たちは激しく議論しました。しかし、その議論の先に、より良い結論がある。
対立ではなく、議論。否定ではなく、理解。そして、違いを認め合いながら、共通点を見つけていく。
これこそが、中道の精神です。
極端に右でも左でもない。一方の意見を全否定するのではなく、それぞれの主張に耳を傾け、議論を重ね、より良い解決策を見つけていく。
東京24区のネット討論会は、そんな民主主義の理想の姿を、少しだけ見せてくれたのではないでしょうか。
2月8日の投開票日。有権者は、この討論会を参考にしながら、自分の判断を下すことになります。
どの候補が選ばれるにせよ、この討論会で示された「侃侃諤諤」の精神が、国会に届くことを願わずにはいられません。
参考URL
- 元動画: https://youtu.be/Hyu6HCONPx8

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