【2026年2月版】DePIN分散型物理インフラ最前線・注目プロジェクト10選・Web3時代のインフラ革命
はじめに、DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks:分散型物理インフラネットワーク)は、2026年に入りWeb3エコシステムの中で最も注目される分野の一つとなっています。ブロックチェーンとトークンインセンティブを活用して、個人がワイヤレスネットワーク、コンピューティング、ストレージ、エネルギーなどの物理的インフラを共同で構築・共有する仕組みは、従来の中央集権型インフラモデルに対する根本的な挑戦です。本記事では、DePINの最新動向と注目プロジェクトを詳しく解説します。
DePINとは何か — 基本概念の整理
Phantomのガイドによると、DePINはブロックチェーンとトークンを使用して、物理的なサービスやリソースを集合的に構築・共有するよう人々にインセンティブを与える分散型ネットワークです。
DePINが解決する課題は明確です。従来の中央集権型インフラモデルは、初期投資の巨大さ、地理的なカバレッジの偏り、単一障害点のリスクなどの問題を抱えています。DePINは、分散型ハードウェアの活用によるコスト削減、単一障害点を排除した耐障害性、中央集権的なゲートキーパーやライセンスのハードルを排除したグローバルなアクセシビリティを提供します。
2026年のDePIN注目プロジェクト10選
QuickNodeのガイドが選定した2026年の注目DePINプロジェクトを解説します。
“Platforms merging physical infrastructure with crypto incentives to create open, permissionless systems.” — 物理的インフラとクリプトインセンティブを融合して、オープンでパーミッションレスなシステムを構築するプラットフォームです。
1. Helium — ワイヤレスネットワークの民主化
Heliumは、DePINの先駆者的存在です。個人が自宅にホットスポットを設置することで、IoTデバイスや5G通信のカバレッジを提供し、HNTトークンで報酬を受け取ります。2026年には、T-MobileとのパートナーシップによるMobile HotspotがHeliumの成長を牽引しています。
2. Hivemapper — 地図データの分散型収集
Hivemapperは、ドライバーがダッシュカメラで撮影した映像から地図データを構築するDePINプロジェクトです。HONEYトークンでインセンティブが提供され、Google Mapsに対抗するオープンな地図データの構築を目指しています。
3. Render Network — 分散型GPUコンピューティング
Render Networkは、余剰GPU処理能力を提供するノードオペレーターと、3Dレンダリングやアニメーション制作に計算資源を必要とするクリエイターをマッチングするプラットフォームです。AIモデルのトレーニングや推論への応用も拡大しています。
4. io.net — AI向け分散型コンピュートプラットフォーム
io.netは、AIモデルのトレーニングや推論に特化した分散型GPUクラスターを提供します。従来のクラウドプロバイダーと比較して大幅なコスト削減を実現しており、AIスタートアップからの需要が急増しています。
5. Grass — バンドウィス共有ネットワーク
Grassは、ユーザーの余剰インターネット帯域幅を活用して、AI企業のデータ収集を分散型で実施するネットワークです。ブラウザ拡張機能をインストールするだけで参加でき、GRASSトークンで報酬が支払われます。
6. Nosana — 分散型コンピューティングネットワーク
Nosanaは、AI推論やCI/CDパイプラインのための分散型コンピューティングリソースを提供します。Solanaブロックチェーン上で動作し、GPUノードオペレーターに報酬を分配します。
7. Filecoin — 分散型ストレージの王道
Filecoinは、分散型ストレージの最大手プロジェクトです。世界中のストレージプロバイダーが余剰ディスク容量を提供し、FILトークンで報酬を受け取ります。企業データのアーカイブから、NFTメタデータの永続的保存まで、幅広い用途に対応しています。
8. Flux — エッジコンピューティングとクラウドサービス
Fluxは、分散型のクラウドインフラを提供するプロジェクトで、ノードオペレーターがコンピューティングリソースを提供します。Webアプリケーションのホスティングから、AIワークロードの処理まで、幅広いサービスを分散型で提供しています。
9. APhone — モバイルインフラネットワーク
APhoneは、分散型のモバイルインフラを構築するプロジェクトです。従来の携帯キャリアに依存しない通信インフラの構築を目指しています。
10. Cubik — 公共財ファンディングプラットフォーム
Cubikは、分散型インフラプロジェクトへの資金提供を促進するプラットフォームで、Quadratic Funding(二次的資金調達)メカニズムを採用しています。
J.P.モルガンのDePIN分析
J.P. MorganもDePINに注目しており、Kinexysプラットフォームを通じたDePIN関連の分析を公開しています。大手金融機関がDePINに言及していることは、このセクターの成熟度を示す重要な指標です。
DePINの課題と対策
arXivの学術論文やIEEEの研究によると、DePINには以下の課題が存在します。
“In a decentralized network, the quality of devices and services provided by participants may vary, and maintaining infrastructure stability and high performance is a critical issue.” — 分散型ネットワークでは、参加者が提供するデバイスやサービスの品質にばらつきが生じる可能性があり、インフラの安定性と高パフォーマンスの維持が重要な課題です。
品質管理の課題については、参加者が提供するハードウェアの性能にばらつきがあり、サービス品質の均一性を確保することが難しいです。対策として、スラッシング(ペナルティ)メカニズムやレピュテーションシステムが導入されています。
トークンエコノミクスの持続可能性については、トークン価格の下落がインフラ提供者のインセンティブを低下させるリスクがあります。これに対して、実需に基づくトークンバーン(焼却)メカニズムなどが検討されています。
DePIN市場の規模と展望
DePINセクターの時価総額は200億ドルを超え、暗号資産業界の中でも主要なセクターの一つとなっています。Grayscaleのリサーチレポートは、DePINが暗号資産と物理世界をつなぐ橋渡し役として機能していると分析しています。
実践手順:DePINへの参加5ステップ
ステップ1:DePINカテゴリの理解
コンピュート(Render、io.net)、ストレージ(Filecoin)、ワイヤレス(Helium)、データ収集(Hivemapper、Grass)など、DePINのカテゴリを理解し、自分が貢献できる分野を特定します。
ステップ2:低リスクな参加から始める
Grassのブラウザ拡張機能のように、初期投資なしで参加できるプロジェクトから始めるのがおすすめです。帯域幅を共有するだけでトークンを獲得できます。
ステップ3:ハードウェアの準備
より本格的に参加する場合は、Heliumのホットスポットデバイス、Hivemapperのダッシュカメラ、またはGPUリグなど、プロジェクトに適したハードウェアを準備します。
ステップ4:ウォレットの設定
対応する暗号資産ウォレット(Phantom、MetaMaskなど)を設定し、報酬の受取準備を行います。セキュリティのためにハードウェアウォレットの使用も検討しましょう。
ステップ5:コミュニティへの参加
各プロジェクトのDiscord、Telegram、フォーラムに参加して、最新情報やベストプラクティスを共有しましょう。コミュニティの活発さがDePINの強みです。
よくある質問(FAQ)
Q1: DePINでどれくらい稼げますか?
A1: プロジェクトや提供するリソース、地域によって大きく異なります。Heliumのホットスポットは月数ドル〜数百ドル、Render Networkの高性能GPUノードは月数百ドル以上の収益が見込めるケースもあります。
Q2: DePINの税金はどう処理しますか?
A2: トークン報酬は多くの国で課税対象です。日本では、獲得したトークンの時価が雑所得として計上されます。税理士への相談をお勧めします。
Q3: DePINのリスクは何ですか?
A3: トークン価格の変動リスク、ハードウェア投資の回収リスク、規制リスクが主な懸念事項です。過度な初期投資は避け、徐々に参加規模を拡大することをお勧めします。
Q4: 日本でDePINに参加する際の注意点は?
A4: 電波法の規制(Heliumの周波数帯)、暗号資産取引に関する税務申告義務、そして電気料金(マイニングやGPUコンピューティング)を考慮する必要があります。
まとめ
2026年のDePINは、Helium、Render Network、Filecoinといった先行プロジェクトの成熟と、io.net、Grassのような新興プロジェクトの台頭により、エコシステムの厚みを増しています。時価総額200億ドル超のセクターとして、J.P.モルガンやGrayscaleといった大手金融機関からも注目を集めるまでに成長しました。
DePINの真の価値は、中央集権的なインフラ企業に依存せず、個人が物理的インフラの構築に貢献し、その対価を受け取れるという民主化の仕組みにあります。Web3の理念が物理世界と結びつくDePINは、暗号資産の「実用性」を証明する最前線として、今後もさらなる発展が期待されます。

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