【2026年2月版】OrcaSlicer v2.3最新機能とKlipper連携ガイド|3Dプリンター設定最適化の決定版

スポンサーリンク

【2026年2月版】OrcaSlicer v2.3最新機能とKlipper連携ガイド|3Dプリンター設定最適化の決定版

はじめに

3Dプリンターのスライサーソフトウェアとファームウェアの世界は、2026年に入って大きな進化を遂げています。特にOrcaSlicerはv2.3シリーズで革新的な機能を次々と追加し、Klipperファームウェアとの連携もさらに強化されました。

本記事では、OrcaSlicerの最新バージョンの新機能、Klipperとの統合による印刷品質の最適化、そしてInput ShapingやPressure Advanceのキャリブレーション手法まで、英語圏の一次情報をもとに詳しく解説します。3Dプリンターの品質向上を目指す方には必見の内容です。

OrcaSlicer v2.3シリーズの概要

OrcaSlicerは、Bambu Lab、Prusa、Voron、VzBot、RatRig、Crealityなど多数のプリンターに対応したオープンソースのGコードジェネレーターです。Marlin、Klipper、RepRap、Smoothieware、Repetierなど複数のファームウェアタイプに対応しています。

v2.3シリーズでは、以下の3つのメジャーリリースが行われました。

  1. v2.3.1 Alpha(2024年8月) — 革新的な新機能の導入
  2. v2.3.1 Beta(2024年9月) — 機能の安定化と改善
  3. v2.3.1 正式版(2024年10月) — バグ修正と安定性向上

19人の開発者のコントリビューションにより、プロファイル、ドキュメント、その他多数の改善が含まれています。

注目の新機能:Input Shaping & Junction Deviationキャリブレーション

OrcaSlicer v2.3の最も革新的な機能の1つが、Input ShapingおよびJunction Deviationのビルトインキャリブレーションツールです。

Input Shapingは、プリンターの振動とゴースティングアーティファクトを低減するモーション制御技術です。従来はKlipperのADXL345加速度センサーを使った手動キャリブレーションが必要でしたが、OrcaSlicerのビルトインツールにより、2ステップのキャリブレーションプロセスが自動化されました。

このツールはMarlinのM593 Gコードをサポートし、Klipperとの初期互換性も確保されています。具体的には以下のステップで動作します。

  1. テストパターンの印刷 — 異なる周波数と加速度でのテストタワーを印刷
  2. 結果の分析 — ゴースティングが最小となるパラメータを特定
  3. 自動設定 — 最適なInput Shapingパラメータをプロファイルに適用

Fuzzy Skin Painting:選択的テクスチャ適用

OrcaSlicer v2.3では、「Fuzzy Skin Painting」という新しいテクスチャ機能が追加されました。

従来のFuzzy Skinはモデル全体に適用される設定でしたが、Fuzzy Skin Paintingでは特定の面にのみテクスチャを適用できます。さらに、「Fuzzy Skin Extrusion Mode」という新しいアプローチでは、従来のジグザグツールパスではなく、フロー(押出量)の変化によってテクスチャ効果を生み出します。

リリースノートでは次のように説明されています。

“Novel approach using flow alteration instead of jagged toolpaths”(ジグザグツールパスの代わりにフロー変更を使用する新しいアプローチ)

この方法は、より自然なテクスチャ感を実現し、印刷時間への影響も最小限に抑えます。

Sparse Infill Rotation Template:精密なインフィル制御

新たに追加された「Sparse Infill Rotation Template」は、テンプレートベースのシステムにより、レイヤーごとのインフィル回転パターンを精密に指定できる機能です。

Extra Solid Infillsとの組み合わせ

「Extra Solid Infills」機能と組み合わせることで、特定の位置にソリッドレイヤーを挿入できます。間隔指定または明示的なレイヤーパターンにより、構造的に重要な箇所の強度を選択的に向上させることが可能です。

Klipperファームウェアとの統合のベストプラクティス

Pressure Advance(圧力補正)の最適化

OrcaSlicerはKlipperユーザー向けに、Pressure Advanceテストパターンを自動生成する機能を備えています。この機能により、ノズルからの樹脂のにじみが排除され、コーナー品質が大幅に向上します。

設定手順は以下の通りです。

  1. OrcaSlicerの「Calibration」メニューを開く
  2. 「Pressure Advance」を選択
  3. テストパターンのパラメータを設定(開始値、終了値、ステップ)
  4. テストパターンを印刷
  5. 最も品質の良いラインの値をKlipperの設定ファイルに反映

リモート印刷・監視

OrcaSlicerはKlipper、PrusaLink、OctoPrintとのシームレスな統合を提供しており、リモートでの印刷開始と監視が可能です。Klipper環境では、Moonsailをバックエンドとして使用することで、WebSocket経由のリアルタイム監視も実現できます。

実践手順:OrcaSlicerとKlipperの最適設定

ステップ1:OrcaSlicerの最新版インストール

OrcaSlicer公式リポジトリから最新版をダウンロードしてインストールします。Windows、macOS、Linuxに対応しています。

ステップ2:プリンタープロファイルの設定

プリンターの仕様に合わせてプロファイルを作成します。Klipperユーザーは「Firmware」セクションで「Klipper」を選択します。

ステップ3:Input Shapingキャリブレーション

  1. Calibration → Input Shaping を選択
  2. テストモデルをスライスして印刷
  3. 結果を確認し、最適なShaper TypeとFrequencyを特定
  4. Klipper設定ファイル(printer.cfg)に値を反映
[input_shaper]
shaper_freq_x: 48.6
shaper_freq_y: 36.2
shaper_type: mzv

ステップ4:Pressure Advanceの調整

  1. Calibration → Pressure Advance を選択
  2. テストパターンを印刷
  3. 最もクリーンなラインのPA値を特定
  4. printer.cfgに反映
[extruder]
pressure_advance: 0.045

ステップ5:フィラメントプロファイルの最適化

各フィラメントに対してフロー率、温度、リトラクション設定を最適化します。OrcaSlicerのフローキャリブレーション機能を活用しましょう。

FAQ

Q: OrcaSlicerは無料ですか?
A: はい。OrcaSlicerはAGPLv3ライセンスのオープンソースソフトウェアで、完全無料で使用できます。

Q: Klipperの導入は難しいですか?
A: 初期セットアップには若干のLinux知識が必要ですが、KIAUHなどのインストールスクリプトを使えば、Raspberry Pi上に比較的簡単にセットアップできます。MainsailやFluiddなどのWebインターフェースが充実しているため、日常の操作は直感的です。

Q: Input Shapingに加速度センサーは必要ですか?
A: OrcaSlicerのビルトインキャリブレーションツールを使えば、ADXL345なしでもInput Shapingの設定が可能です。ただし、加速度センサーを使用したKlipper標準のキャリブレーションの方がより精度の高い結果が得られます。

Q: BambuLabのプリンターでもOrcaSlicerは使えますか?
A: はい。OrcaSlicerはBambu Lab Studio(旧PrusaSlicer fork)をベースとしており、Bambu Labプリンターとのネイティブ互換性があります。LANモードやクラウド接続での印刷にも対応しています。

まとめ

OrcaSlicer v2.3シリーズは、Input Shapingキャリブレーション、Fuzzy Skin Painting、Sparse Infill Rotation Templateなど、3Dプリントの品質と利便性を大幅に向上させる革新的な機能を導入しました。特にKlipperとの連携強化により、高速・高品質な印刷設定の追求がこれまでにないほど容易になっています。

オープンソースの3Dプリンティングエコシステムは着実に成熟しており、商用ソフトウェアに匹敵する、あるいはそれを超える機能を無料で利用できる時代が到来しています。まだOrcaSlicerを試していない方は、ぜひ最新版をダウンロードして、その進化を体験してみてください。

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました