【2026年2月版】ROS 2 Jazzyとros2_control完全ガイド|ロボット開発の最新フレームワーク解説
はじめに
ROS 2(Robot Operating System 2)のLTSディストリビューション「Jazzy Jalisco」は、2029年までのサポートが保証された安定基盤として、ロボティクス開発の現場で広く採用されています。2026年2月時点では、ros2_controlフレームワークのJazzy版ドキュメントが更新され、ロボットのハードウェア抽象化と制御が一層洗練されました。
本記事では、ROS 2 Jazzyの最新パッチリリース情報、ros2_controlフレームワークの概要と活用方法、そしてNVIDIAのPhysical AIとの連携まで、英語圏の公式ドキュメントをもとに日本語で詳しく解説します。ロボット開発に携わる方にとって実践的なガイドとなる内容です。
ROS 2 Jazzy Jaliscoの概要
ROS 2 Jazzy JaliscoはROS 2の第10番目のディストリビューションで、2024年5月23日(World Turtle Day)にリリースされました。Intrinsicのブログでは、このリリースの主要な改善点が解説されています。
パッチリリース履歴
Jazzyは定期的なパッチリリースにより、継続的な品質向上が行われています。
- Patch Release 7(2025年1月28日)— 最新のバイナリパッケージ
- Patch Release 6(2025年8月20日)— セキュリティ修正と安定性向上
- Patch Release 5(2025年4月30日)— パフォーマンス最適化
主要な改善点
Jazzyリリースの重要な改善には以下のものがあります。
- エグゼキュータの最適化 — レースコンディションの修正によるシステムパフォーマンスの向上
- ROS 2とGazeboの使いやすさ改善 — どのバージョンのGazeboを使うべきかが分かりやすくなり、始めやすくなった
- 2029年までの長期サポート — 企業向けプロジェクトに最適な安定基盤を提供
ros2_controlフレームワーク詳解
ros2_controlの2026年2月版ドキュメントによれば、ros2_controlはロボットの制御とハードウェア抽象化を統一的に管理するためのフレームワークです。
アーキテクチャの4つのコンポーネント
ros2_controlは以下の4つの主要コンポーネントで構成されています。
1. Controller Manager
“connects the controllers and hardware-abstraction sides while serving as the user entry point through ROS services”(コントローラとハードウェア抽象化側を接続し、ROSサービスを通じたユーザーのエントリーポイントとして機能する)
Controller Managerは、システム全体の中核的な役割を果たします。ROS 2サービスを通じてコントローラのロード、アンロード、起動、停止を管理します。
2. Resource Manager
Resource Managerは、物理的なハードウェアを抽象化し、pluginlibを通じてコンポーネントのライフサイクルを管理します。ハードウェア固有の実装をフレームワークから分離する重要な役割を担っています。
3. Controllers
各コントローラはControllerInterfaceから派生し、updateループ内で制御アルゴリズムを実行します。位置制御、速度制御、力制御など、さまざまな制御戦略を実装できます。
4. User Interfaces
Controller Managerのサービスまたはros2 control CLIコマンドを通じてアクセスします。
ハードウェアコンポーネントの3つのタイプ
ros2_controlは3つのハードウェアコンポーネントカテゴリをサポートしています。
- System — 複雑な多自由度ロボット(読み書き可能)
- Sensor — 環境センシングハードウェア(読み取り専用)
- Actuator — モーターなどの単純な1自由度デバイス(双方向制御)
実装の3ステップ
ros2_controlの実装は以下の3ステップで行います。
ステップ1:YAML設定ファイルの作成
コントローラのパラメータを定義するYAMLファイルを作成します。
controller_manager:
ros__parameters:
update_rate: 100 # Hz
joint_state_broadcaster:
type: joint_state_broadcaster/JointStateBroadcaster
forward_position_controller:
type: forward_command_controller/ForwardCommandController
forward_position_controller:
ros__parameters:
joints:
- joint1
- joint2
interface_name: position
ステップ2:URDFへのros2_controlタグの追加
ロボットのURDF記述にハードウェアインターフェースを定義する<ros2_control>タグを追加します。
<ros2_control name="MyRobot" type="system">
<hardware>
<plugin>my_robot_hardware/MyRobotHardware</plugin>
</hardware>
<joint name="joint1">
<command_interface name="position"/>
<state_interface name="position"/>
<state_interface name="velocity"/>
</joint>
</ros2_control>
ステップ3:Launchファイルの作成
Controller Managerノードを起動するLaunchファイルを作成します。
from launch import LaunchDescription
from launch_ros.actions import Node
def generate_launch_description():
return LaunchDescription([
Node(
package='controller_manager',
executable='ros2_control_node',
parameters=['config/controllers.yaml'],
output='screen',
),
])
NVIDIAとのPhysical AI統合
NVIDIAの発表によれば、NVIDIAはIsaacオープンモデルとライブラリをHugging FaceのLeRobotフレームワークに統合し、オープンソースロボティクスコミュニティを加速させています。
ROS 2 JazzyとNVIDIA Isaac SDKの連携により、以下のことが可能になります。
- GR00Tモデル — ヒューマノイドロボット向けのファウンデーションモデル
- Isaac Sim — 高精度な物理シミュレーション環境
- Isaac Manipulator — ロボットアーム制御の加速
Humble → Jazzyマイグレーション
ros2_controlのマイグレーションガイドには、Humble DistroからJazzyへの移行手順が詳しく記載されています。主な変更点には以下が含まれます。
- API変更への対応
- 新しいコントローラインターフェースへの更新
- YAMLパラメータ構造の変更
FAQ
Q: ROS 2 Jazzyはどのプラットフォームで動作しますか?
A: 公式にはUbuntu 24.04 LTSがティア1サポートされています。RHELもサポートされており、aptまたはdnfコマンドでバイナリパッケージをインストールできます。
Q: ROS 1からの移行は必要ですか?
A: ROS 1(Noetic)は2025年5月にサポート終了しました。新規プロジェクトではROS 2 Jazzyの採用を強く推奨します。既存プロジェクトはros1_bridgeを使った段階的な移行が可能です。
Q: ros2_controlは実際のロボットですぐに使えますか?
A: はい。ros2_controlは産業用ロボットから研究用プラットフォームまで、幅広いロボットで実績があります。多くのロボットメーカーがros2_control対応のハードウェアインターフェースプラグインを提供しています。
Q: Gazeboのどのバージョンを使うべきですか?
A: ROS 2 Jazzyには「Gazebo Harmonic」の使用が推奨されています。Jazzyリリースにより、Gazeboバージョンの選択がより分かりやすくなりました。
まとめ
ROS 2 Jazzy Jaliscoは、2029年までの長期サポートと継続的なパッチリリースにより、ロボティクス開発の安定した基盤を提供しています。ros2_controlフレームワークは、ハードウェア抽象化と制御の統一的な管理を実現し、ロボット開発の効率と品質を大幅に向上させます。
さらに、NVIDIAのPhysical AIプラットフォームとの統合により、シミュレーションから実機への移行(Sim-to-Real)がますます容易になっています。ROS 2 Jazzyを基盤としたロボット開発は、2026年の現在、最もアクセスしやすく、最も将来性のある選択肢と言えるでしょう。

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