Keycloak Invalid token issuer in dockerの解決方法【2025年最新版】
エラーの概要・症状
KeycloakをDocker環境で使用している際に、「Invalid token issuer」というエラーメッセージが表示されることがあります。このエラーは、特に認証トークンが無効であるか、予期しないトークン発行者から発行されている場合に発生します。
このエラーが表示される主な状況は、アプリケーションがKeycloakから発行されたトークンを検証する際に、トークンの発行者(issuer)が期待されるものと一致しない場合です。具体的には、次のような症状が見られます。
- 認証が失敗し、アプリケーションにアクセスできない。
- APIリクエストが403 Forbiddenエラーを返す。
- ユーザーがログイン後に適切な権限を持たない。
ユーザーはこれにより、アプリケーションの利用が制限され、業務に影響を及ぼす可能性があります。このため、迅速な対応が求められます。
このエラーが発生する原因
「Invalid token issuer」エラーが発生する原因はいくつかあります。以下に主要な原因を挙げて、それぞれの技術的背景を説明します。
- トークン発行者の不一致
Keycloakでは、トークンの発行者(issuer)が設定されています。この値は、クライアントアプリケーションがトークンを検証する際に比較されます。Docker環境では、IPアドレスやホスト名の不一致により、トークンが無効と判定されることがあります。
-
SSL/TLSの設定
KeycloakがSSL/TLSを使用している場合、クライアント側でも同様の設定が必要です。SSLが無効になっていると、トークンが有効であっても、通信が安全でないと判断されることがあります。
-
環境変数の設定ミス
DockerでKeycloakを実行する際、環境変数(特に
auth-server-url)が正しく設定されていないと、トークンの発行者が異なると認識されることがあります。 -
Dockerコンテナ間の通信設定
コンテナ同士の通信が適切に設定されていない場合、トークンの検証が失敗することがあります。特に、異なるネットワーク間での通信が必要な場合は注意が必要です。
-
アプリケーションの設定ミス
クライアントアプリケーションの設定が不正確な場合、正しいトークンでも無効と判断されることがあります。これには、クライアントIDやシークレットの設定が含まれます。
解決方法1(最も効果的)
以下は、最も効果的な解決方法です。この方法では、Keycloakの設定を見直し、適切な環境変数やSSL設定を行います。
手順1-1(具体的なステップ)
- Keycloakの設定を確認
Keycloakの管理コンソールにログインし、対象のRealmを選択します。次に、”Realm Settings”に移動し、”Login”タブを選択します。
-
SSLの設定を変更
“Require SSL”の設定を”None”に変更します。これにより、SSLを要求しない設定になります。
手順1-2(詳細な操作方法)
-
application.ymlの設定変更
クライアントアプリケーションの
application.ymlファイルを開き、以下の設定を追加または修正します:
keycloak.ssl-required = none
これにより、クライアントアプリケーションもSSLを要求しない設定になります。
- Docker Composeファイルの設定確認
Docker Composeファイルを確認し、Keycloakの
auth-server-urlが正しく設定されていることを確認します:
keycloak.auth-server-url=http://localhost:8090
この設定は、Keycloakがリッスンしているポートに合わせて変更してください。
手順1-3(注意点とトラブルシューティング)
- 設定変更後、Dockerコンテナを再起動する必要があります。以下のコマンドを実行して、変更を反映させます:
docker-compose down
docker-compose up -d
解決方法2(代替手段)
もし上記の方法が効果がない場合、以下の代替手段を試みてください。この手段では、Docker Composeファイルの設定を見直し、環境変数を適切に設定します。
- Docker Composeファイルの確認
Docker Composeファイルを開き、以下のように設定を確認します:
version: '3.7'
services:
keycloak:
container_name: 'keycloak'
image: quay.io/keycloak/keycloak:18.0
environment:
DB_VENDOR: POSTGRES
DB_ADDR: kc_postgres
DB_DATABASE: keycloak
DB_USER: keycloak
DB_SCHEMA: public
DB_PASSWORD: password
KEYCLOAK_ADMIN: admin
KEYCLOAK_ADMIN_PASSWORD: admin
KC_HTTP_PORT: 8090
ports:
- '8090:8090'
depends_on:
- kc_postgres
command: start-dev
networks:
- spring
- kc_postgres
ここで、KC_HTTP_PORTが正しく設定されていることを確認します。
- KeycloakのURL設定
クライアントアプリケーションの設定で、KeycloakのURLが正しく設定されていることを確認します。
keycloak.auth-server-url=http://keycloak:8090
これにより、Keycloakのコンテナ名を使用して正しく通信できるようになります。
解決方法3(上級者向け)
上級者向けには、コマンドラインを使用した設定変更を推奨します。以下の手順を実行してください。
- Dockerコンテナにアクセス
以下のコマンドでKeycloakコンテナにアクセスします:
docker exec -it keycloak /bin/bash
-
設定ファイルを直接編集
Keycloakの設定ファイル(例:
standalone.xmlやstandalone-ha.xml)を直接編集し、トークンの発行者の設定を見直します。これにより、発行者の不一致を解消します。 -
トークンの検証
トークンが正しく発行されているか確認するために、以下のコマンドを実行してトークンを検証します:
curl -X POST http://localhost:8080/realms/my-nestjs-app/protocol/openid-connect/token
これにより、トークンが正しく発行されるか確認できます。
エラーの予防方法
このエラーを未然に防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 環境設定の確認
Docker環境でKeycloakを使用する際は、必ず環境変数や設定ファイルを確認し、正確に設定されていることを確認してください。
-
定期的なメンテナンス
KeycloakやDockerのアップデートを定期的に行い、最新のセキュリティパッチや機能を適用してください。
-
SSL/TLSの使用
プロダクション環境では、必ずSSL/TLSを使用し、通信の安全性を確保しましょう。これにより、トークンの検証時のエラーを避けることができます。
関連するエラーと対処法
このエラーに関連する他のエラーもいくつかあります。以下に類似したエラーとその対処法を紹介します。
- Keycloak Adapter Failed to Verify Token
- このエラーは、アプリケーションがKeycloakからのトークンを正しく検証できない場合に発生します。上述の手順を参考に、設定を見直してください。
- Spring Boot Unable to Get Response of Keycloak Authorized API via Zuul Proxy
- Zuul Proxyを使用している場合、適切なルーティング設定を行い、KeycloakのURLが正しく指定されているか確認します。
- Validate Keycloak Token
- トークンの検証には、JWT.ioなどのオンラインツールを利用することも有効です。トークンを貼り付け、検証結果を確認しましょう。
まとめ
「Keycloak Invalid token issuer in docker」というエラーは、トークンの発行者が不一致であることが原因です。適切な設定を行うことで、問題を解決できることが多いです。環境変数やSSL設定を見直し、Dockerコンテナの設定を確認してください。定期的なメンテナンスを行い、エラーを未然に防ぐことも重要です。次のステップとして、これらの設定を見直し、必要に応じて環境を再構築することをおすすめします。

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