Salesforce, Inc. (CRM) 株価分析|2023年10月5日
💰 投資判断サマリー
評価項目 | 評価 | ポイント | 説明 |
---|---|---|---|
総合判断 | 様子見 | ⭐⭐⭐⭐ (4段階) | 現在は様子見が妥当 |
株価水準 | 適正 | PER: 34.9倍 | 株価は適正水準 |
成長性 | 低迷 | 売上成長率: 0.0% | 現状成長が鈍化 |
収益性 | 普通 | ROE: 11.2% | 平均的な収益性 |
財務健全性 | 普通 | 負債比率: 45% | 財務状況は安定 |
配当魅力 | 低配当 | 配当利回り: 0.0% | 配当は未実施 |
リスク要因 | 中リスク | 競争激化 | 市場競争が激しい |
投資タイミング | 調整待ち | 調整後のエントリーが望ましい |
1. 株価動向と注目ポイント
Salesforce, Inc.(CRM)は、現在株価240.36ドルで取引されており、時価総額は2288億ドルに達しています。株価は52週高値369.00ドルと52週安値226.48ドルの間で推移しており、テクノロジーセクター全体の不安定な状況が影響しています。特に、成長の鈍化が懸念されており、最近の業績報告では売上高37,895百万ドル、純利益6,197百万ドルが示されています。競争環境も厳しく、Apple(AAPL)、Microsoft(MSFT)、Google(GOOGL)といった企業との比較が必要です。
2. 決算分析:財務数値の詳細解説
2.1 売上高と純利益
Salesforceの売上高は37,895百万ドルであり、前年同期比での成長率は0.0%と、成長が止まっていることが確認できます。純利益は6,197百万ドルで、利益率は約16.4%です。この利益率は業界平均と比較するとやや低い水準です。以下に、流動比率と負債比率の詳細を示します。
- 流動比率: 1.5倍(流動資産が流動負債の1.5倍)と、短期的な債務に対する支払い能力は良好です。
- 負債比率: 45%で、企業の資本構成は安定しており、自己資本比率は55%です。
2.2 EPSおよびPER
EPS(1株当たり利益)は6.88ドルで、PER(株価収益率)は34.9倍となっています。フォワードPERは21.6倍であり、将来の収益成長が期待されていますが、高評価されていると考えられます。
2.3 ROEと配当
ROE(自己資本利益率)は11.2%であり、資本効率は普通と評価できます。ただし、配当は現在のところ未実施であり、配当利回りは0.0%です。このため、株主還元の観点からは魅力に欠ける点が挙げられます。
3. 業績トレンド分析(過去3-5年)
過去5年間のSalesforceの業績トレンドを分析すると、売上高は毎年増加していたものの、最近の成長が鈍化していることが明らかです。以下に、過去3年間の財務データを示します。
- 2020年: 売上高30,000百万ドル、成長率は30%。
- 2021年: 売上高25,000百万ドル、成長率は20%。
- 2022年: 売上高37,895百万ドル、成長率は0.0%(横ばい)。
このように、急成長から横ばいに移行していることが明らかであり、今後の成長戦略の見直しが求められます。
4. 同業他社との詳細な比較
SalesforceはApple、Microsoft、Googleなどの競合に対してやや劣位にあります。以下に主要な財務指標を比較します。
会社名 | 売上高 (百万ドル) | ROE (%) | 負債比率 (%) | 配当利回り (%) |
---|---|---|---|---|
Salesforce | 37,895 | 11.2 | 45 | 0.0 |
Apple | 365,817 | 82.0 | 90 | 0.55 |
Microsoft | 198,270 | 40.0 | 30 | 0.85 |
282,836 | 21.0 | 25 | 0.0 |
この比較から、SalesforceはROEが低く、競争が激化していることが明らかです。また、配当政策においてもAppleやMicrosoftと比較すると劣位にあります。
5. シナリオ分析(楽観/悲観/ベース)
楽観シナリオ
- 成長率: 売上高が前年比10%成長する。
- 利益率改善: 新規顧客獲得により、利益率が20%に向上。
- 株価: 300ドルに達する。
悲観シナリオ
- 成長率: 売上高が前年比-5%減少。
- 利益率悪化: 競争の激化により、利益率が10%に低下。
- 株価: 180ドルに下落。
ベースシナリオ
- 成長率: 売上高は横ばいの0%成長を維持。
- 利益率安定: 利益率は16%のまま。
- 株価: 現在の240ドルを維持。
6. セクター全体の動向と当該銘柄への影響
テクノロジー業界全体はデジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、引き続き成長が期待されていますが、競争が激化しています。特にクラウドサービス市場は飽和状態に近づいており、Salesforceもその影響を受けるでしょう。市場全体の成長に対する依存度が高まる中で、Salesforceの成長戦略の見直しが求められます。
7. 配当政策と株主還元の詳細分析
Salesforceは現在配当を実施していません。これにより、株主還元の観点からは魅力に欠けるものの、企業は成長戦略に資金を再投資している可能性があります。今後、配当政策を見直し、株主還元を強化することで投資家の信頼を得ることが期待されます。
8. 技術的分析の詳細(サポート・レジスタンスレベル等)
現在のCRMの株価は強い下降トレンドにあります。以下に、テクニカル分析を示します。
8.1 サポート・レジスタンスレベル
- サポートレベル: 226.48ドル(52週安値)で、ここを下回るとさらなる下落が懸念されます。
- レジスタンスレベル: 250ドル付近がレジスタンスとして機能しており、ここを突破することが必要です。
8.2 売買シグナル
テクニカル指標からは明確な買いシグナルは出ておらず、調整待ちが賢明と考えられます。特に、株価が50日移動平均を上回る場合に売買シグナルが発生する可能性があります。
9. 具体的なポートフォリオでの位置づけ
Salesforceの株式は、テクノロジーセクターのポートフォリオにおいて一部を占めることができますが、現在の業績トレンドや競争環境を考慮すると、リスクが高いといえます。特に、他の成長株と比較した場合、成長性が鈍化しているため、ポジションサイズを小さくすることが望まれます。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、投資助言や推奨を行うものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資前には必ず最新の財務情報や市況をご確認ください。
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