【2026年2月版】DePIN最新動向|Helium・IoTeX・Filecoinの進化と分散型物理インフラの未来を徹底解説
はじめに、分散型物理インフラネットワーク(DePIN: Decentralized Physical Infrastructure Network)が2026年に入って急速な成長を見せています。市場規模は192億ドルに達し、Helium、IoTeX、Filecoinといった主要プロジェクトが大きなマイルストーンを達成しています。本記事では、2026年2月時点でのDePINエコシステムの最新動向を包括的に解説します。
DePINとは、従来は中央集権的な企業が構築・運営していた物理インフラ(通信ネットワーク、ストレージ、コンピューティングリソースなど)を、ブロックチェーンベースのインセンティブメカニズムを活用して分散型で構築・運営するという革新的なコンセプトです。Web3の中でも最も実世界に密接に関わる領域として注目を集めています。
DePIN市場の急成長 — 192億ドル規模に到達
DePIN市場は2025年9月時点で時価総額192億ドルに達し、前年同期の52億ドルから約3.7倍という驚異的な成長を遂げました。
Grayscaleのリサーチレポートでは、DePINの可能性について次のように述べられています。
“DePIN bridges crypto back to physical systems”
(DePINは暗号資産を物理的なシステムに橋渡しする)
— Grayscale Research
さらに、世界経済フォーラム(WEF)は、DePIN市場が2028年までに3.5兆ドルに達する可能性があると予測しています。これは現在の約180倍という規模であり、DePINが単なるクリプトのトレンドではなく、インフラ産業全体を変革する可能性を持つことを示唆しています。
Helium — デフレーション時代の到来
半減期とデフレーション達成
Heliumは2025年8月に半減期を迎え、排出量が年間1,500万HNTから750万HNTに削減されました。そして2025年10月、Helium史上初のデフレーション月を記録しました。Helium Mobileのサブスクリプション収益によるバーン(焼却)量が新規排出量を上回ったのです。
これはDePINプロジェクトにとって画期的な出来事です。ネットワークの実際の利用から生まれる収益がトークンの供給量を減少させるという、健全なトークノミクスが機能していることの証明です。
SEC訴訟の却下
2025年4月、SECがHeliumに対する訴訟を却下したことも大きなニュースでした。これにより、Heliumの法的地位が明確化され、機関投資家を含む幅広い投資家からの信頼獲得につながっています。
ニューヨーク市での大規模展開
Helium Foundationは、ニューヨーク市での分散型ワイヤレスカバレッジの拡大のために5,000万ドルの助成金プログラムを開始しました。ニューヨーク市はHeliumのDePIN導入において最先端の都市として位置づけられており、分散型ワイヤレスネットワークの実用性を証明する重要なショーケースとなっています。
IoTeX — Physical AIへの進化
IoTeXは2024年に大規模アップグレードであるIoTeX 2.0をローンチし、2026年もその進化が続いています。
“IoTeX announced a significant expansion into artificial intelligence, introducing a unified ecosystem for Physical AI, a new category of intelligence powered by real-world data from machines, devices, and decentralized infrastructure.”
(IoTeXは人工知能への大幅な拡大を発表し、マシン、デバイス、分散型インフラからの実世界データを活用した新しいインテリジェンスカテゴリであるPhysical AIの統合エコシステムを導入した)
IoTeX 2.0のアーキテクチャ
IoTeX 2.0では、検証可能なDePINをサポートするためのモジュラーインフラストラクチャが導入されました。主要なコンポーネントは以下の通りです。
- DePIN Infrastructure Modules(DIMs): DePINプロジェクトの構築を容易にするモジュラーコンポーネント
- Modular Security Pool(MSP): セキュリティを共有するためのプール型メカニズム
- Animoca Brandsとのパートナーシップ: Animoca Brandsがネットワークバリデータとエコシステムパートナーに
Physical AIという新概念
IoTeXが提唱する「Physical AI」は、DePINの次なる進化形とも言えるコンセプトです。実世界のセンサー、デバイス、インフラから収集されるデータをAIモデルの学習に活用し、その成果を再び物理世界にフィードバックするという循環型のエコシステムを目指しています。
Filecoin — Onchain Cloudの登場
分散型ストレージの代表格であるFilecoinは、2025年後半にOnchain Cloudをローンチしました。
Onchain Cloudは、ストレージ、取得、および決済をオンチェーンで統合する検証可能でコンポーザブルなクラウドレイヤーです。ブエノスアイレスで開催されたDePIN Dayで発表されたこの新機能は、Filecoinが単なる分散型ストレージから分散型クラウドプラットフォームへと進化していることを示しています。
従来のクラウドストレージ(AWS S3やGoogle Cloud Storageなど)と比較して、Filecoinのオンチェーンクラウドは以下の利点を提供します。
- 検証可能性: データの保存と取得がブロックチェーン上で検証可能
- コンポーザビリティ: 他のWeb3プロトコルやdAppsとの組み合わせが容易
- 検閲耐性: 中央集権的な管理者によるデータの削除や制限のリスクが低減
- コスト効率: 分散型ネットワークの競争メカニズムによる価格最適化
新興プロジェクト:Naoris Protocol
2026年の注目新興プロジェクトとして、Naoris Protocolが挙げられます。Cryptonomist Awards 2025で「Best DePIN Crypto Project」を受賞し、2026年第1四半期のメインネットローンチが予定されています。
Naoris Protocolはサイバーセキュリティ分野のDePINプロジェクトで、分散型のセキュリティ検証ネットワークを構築することを目指しています。従来のセキュリティモデルでは中央集権的な認証局やセキュリティプロバイダーに依存していましたが、Naorisは分散型のアプローチでこれを置き換えようとしています。
DePINのユースケース一覧
2026年のDePINエコシステムは、以下のような多岐にわたるユースケースに展開されています。
| カテゴリ | 代表的プロジェクト | 概要 |
|---|---|---|
| ワイヤレス通信 | Helium | 分散型5G/IoTネットワーク |
| ストレージ | Filecoin, Arweave | 分散型データストレージ |
| コンピューティング | Render, Akash | 分散型GPU/CPUレンタル |
| AI/データ | IoTeX, Ocean Protocol | 実世界データ収集・AI連携 |
| エネルギー | – | P2P電力取引 |
| サイバーセキュリティ | Naoris Protocol | 分散型セキュリティ検証 |
| マッピング | Hivemapper | 分散型地図データ収集 |
| 環境モニタリング | PlanetWatch | 大気質データ収集 |
実践手順:DePINプロジェクトへの参加方法
ステップ1:DePINプロジェクトの調査
DePINscanを使って、各DePINプロジェクトの統計データ、ノード数、収益性を調査します。
ステップ2:ウォレットの準備
参加するプロジェクトに応じたウォレットを準備します。
- Helium: Solanaウォレット(Phantom、Solflareなど)
- IoTeX: IoTeXウォレット(ioPay)
- Filecoin: Filecoinウォレット(Glif)
ステップ3:ハードウェアの選択と設置
各プロジェクトに応じたハードウェアを購入・設置します。
- Helium: ホットスポットデバイス(5G対応機器)
- Filecoin: ストレージサーバー
- Hivemapper: ダッシュカメラ
ステップ4:ネットワークへの接続とマイニング開始
ハードウェアをセットアップし、ネットワークに接続します。各プロジェクトのアプリやダッシュボードから、報酬の状況をモニタリングできます。
ステップ5:報酬の管理
獲得したトークンの管理・運用を行います。ステーキング、流動性提供、または法定通貨への交換など、戦略に応じた運用を検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: DePINへの参加にはどの程度の初期投資が必要ですか?
A1: プロジェクトによって大きく異なります。Heliumホットスポットは数百ドル程度、Filecoinのストレージマイニングは数千ドル以上の投資が必要です。小規模から始められるプロジェクトもあります。
Q2: DePINの収益性は?
A2: ロケーション、ネットワーク需要、トークン価格によって大きく変動します。DePINscanなどのツールで各プロジェクトの平均収益を確認してから参加を検討しましょう。
Q3: DePINとクラウドサービスの違いは?
A3: 従来のクラウドサービスは少数の大企業が管理する中央集権型ですが、DePINは多数の個人や小規模オペレーターが参加する分散型です。検閲耐性、コスト効率、地理的分散性に優れます。
Q4: Physical AIとは何ですか?
A4: IoTeXが提唱する概念で、実世界のデバイスやインフラから収集されるデータをAIの学習に活用し、その成果を物理世界にフィードバックするエコシステムです。
Q5: DePINのリスクは?
A5: トークン価格の変動リスク、ハードウェアの陳腐化リスク、規制リスク、プロジェクト自体の持続可能性リスクなどがあります。十分なリサーチを行ってから参加することを推奨します。
まとめ
2026年2月のDePINエコシステムは、Heliumのデフレーション達成、IoTeXのPhysical AI構想、FilecoinのOnchain Cloud、そしてNaoris Protocolのメインネットローンチ予定と、多くのエキサイティングな展開が進行中です。
市場規模192億ドル、WEFによる3.5兆ドルの将来予測、SEC訴訟の却下による法的明確化など、DePINを取り巻く環境は急速に成熟しています。物理的なインフラをブロックチェーンで再構築するというDePINのビジョンは、もはや実験的な段階を超え、実用フェーズに突入したと言えるでしょう。
参考資料
- Grayscale – The Real World: How DePIN Bridges Crypto Back to Physical Systems
- QuickNode – Top 10 DePIN Projects in 2026
- DePINscan – The Ultimate DePIN Explorer
- DePIN Report 2025 – DePINscan
- Idea Usher – Top DePIN Use Cases 2026
- BTCC – 5 DePIN Crypto Projects That Could Redefine Infrastructure in 2026
- DePIN Wireless – How Helium’s DePIN Network Powers Smart Cities
- Latest DePIN News

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