【失敗検証】福岡市で最安値物件に破産する理由を徹底分析
動画情報
- YouTube URL: https://www.youtube.com/watch?v=e-RlbMtKqE0
- チャンネル: みのりーす
- 再生回数: 482,949回
- 動画タイトル: 【失敗検証】福岡市で最安値に破産する物件を見てきた
はじめに:「安い=お得」の罠
不動産投資を始める多くの初心者が陥る罠があります。それは「安い順に並べて、一番安い物件を買えば成功するだろう」という考え方です。
実は筆者も不動産投資を始めた当初、全く同じ考えを持っていました。しかし今回、福岡市で最安値物件を徹底検証した結果、この物件を買ったら確実に破産するという衝撃的な結論に至りました。
さらに「人口増加エリアなら安全だろう」という一般論も、この物件に関しては全く通用しませんでした。
この記事では、不動産投資のプロ視点から、なぜこの物件が「破産物件」なのかを徹底的に分析します。
投資案件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件種別 | 1K単身アパート(4戸) |
| 物件価格 | 1,080万円 |
| 土地面積 | 約30坪 |
| 築年数 | 築34年 |
| 所在地 | 福岡県福岡市(福岡大学から徒歩10-15分) |
| 前面道路幅 | 3.8m(実質1.5台分の狭さ) |
| 入居状況 | 4戸中2戸空室(実質入居率50%) |
| 広告表記利回り | 10% |
| 実質利回り(実勢家賃ベース) | 7% |
投資の具体的内容(不動産プロ観点)
購入価格と想定収支
購入諸費用を含めた総投資額:約1,150万円
– 物件価格: 1,080万円
– 諸費用(登記費用・不動産取得税等): 約70万円
想定家賃収入(満室想定)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月額家賃収入(4戸満室) | 約7.0万円 |
| 年間家賃収入 | 約84万円 |
| 実勢家賃(不動産屋ヒアリング) | 月額1.5万円/戸 |
| 実勢年間家賃収入 | 72万円 |
※不動産屋は「3万円/戸で募集できる」と主張したが、実際の市場調査では1.5万円/戸が限界
ランニングコスト(年間)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 固定資産税 | 約5万円 |
| 管理費(自主管理想定) | 0円 |
| 修繕積立(築34年のため高め) | 約10万円/年 |
| 空室損失(入居率50%想定) | -36万円 |
| 年間経費合計 | 約15万円 |
フルローン想定シミュレーション
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 借入額 | 1,150万円(諸費用込み) |
| 金利 | 3.0%(フルローン・属性により変動) |
| 返済期間 | 15年 |
| 月額返済額 | 約8.0万円 |
| 年間返済額 | 約96万円 |
キャッシュフロー計算(満室想定)
年間家賃収入: 72万円
- 年間経費: 15万円
- 年間返済額: 96万円
= 年間キャッシュフロー: -39万円
つまり満室でも年間39万円の赤字です。
さらに現状の入居率50%を考慮すると:
年間家賃収入: 36万円(50%入居)
- 年間経費: 15万円
- 年間返済額: 96万円
= 年間キャッシュフロー: -75万円
現状の入居率では、年間75万円の持ち出しが発生します。
投資シミュレーショングラフ

投資案件の評価・分析
| 評価項目 | 評価 | 理由・分析内容 |
|---|---|---|
| 収益性 | ⭐ (1/5) | 満室でも年間39万円の赤字。入居率50%なら年間75万円の持ち出し。利回り7%は新築並みで中古アパートとしての魅力ゼロ。 |
| 立地条件 | ⭐⭐ (2/5) | 福岡大学徒歩10-15分と悪くないが、前面道路3.8m(実質1.5台分)で車の離合すら困難。周辺に競合物件が多数あり差別化不可。 |
| リスク | ⭐⭐⭐⭐⭐ (5/5) | 空室リスク極大。築34年で修繕リスク高。入居率50%の実績あり。家賃1.5万円では学生も低所得者層もターゲットにならず。 |
| 流動性 | ⭐ (1/5) | 土地30坪では戸建て建築不可(最低40坪必要)。出口戦略が全く描けない。売却時も買い手がつかない可能性大。 |
| 総合評価 | ⭐ (1/5) | 投資非推奨。買った時点で破産ルート確定。 |
評価レーダーチャート

失敗案件の見分けポイント
この物件を「破産物件」と断定する具体的な理由を、チェックリスト形式でまとめました。
| 見分けポイント | 本案件の状況 | 判定 | 詳細分析 |
|---|---|---|---|
| 利回りが高すぎないか | 広告利回り10%、実勢7% | ❌ | 7%は新築並み。中古築34年で7%は話にならない。 |
| 修繕費用の見積もり | 築34年、未計上 | ❌ | 外壁塗装・防水・配管交換などで200-300万円の修繕リスク。 |
| 立地の需要 | 福岡大学徒歩10-15分 | ⚠️ | 立地自体は悪くないが、道路幅3.8mが致命的。 |
| 道路幅 | 3.8m(離合困難) | ❌ | 車の離合すらできない道路は不動産価値を大きく下げる。 |
| 競合物件 | 周辺に学生向け単身アパート多数 | ❌ | より新しく綺麗な物件が隣接。差別化不可能。 |
| 入居率の実績 | 4戸中2戸空室(50%) | ❌ | 不動産屋は「満室」と主張したが、現地確認で半分空室。 |
| 家賃の実勢価格 | 広告3万円/戸、実勢1.5万円/戸 | ❌ | 不動産屋の情報と市場実態が乖離。 |
| 土地面積 | 30坪 | ❌ | 戸建て建築には最低40坪必要。出口戦略が描けない。 |
| 築年数 | 築34年 | ❌ | 1K単身は築年数が古いと極端に入居率が下がる。 |
| 人口動態 | 福岡市(人口150万人・増加中) | ✅ | これだけが唯一のプラス要素。しかしこれだけでは不十分。 |
リスク評価チャート

破産シナリオの詳細分析
シナリオ1:満室を目指して運営した場合
- 初年度: 月8万円(年96万円)のローン返済 vs 月7万円(年84万円)の家賃収入 → 年12万円赤字
- 2年目: 空室が1戸発生 → 年間家賃63万円 vs 返済96万円 → 年33万円赤字
- 3年目: 大規模修繕が必要(外壁塗装200万円) → 累積赤字が300万円を超える
- 4年目: 学生が卒業し退去が続く → 入居率50%(現状維持) → 年75万円赤字
- 5年目: 返済継続不可能 → 破産または任意売却
シナリオ2:低家賃で満室を目指した場合
- 家賃1.5万円/戸で募集 → 年間家賃72万円
- しかし返済96万円 → 年24万円赤字
- 修繕費を考慮すると累積赤字は加速
- 低所得者層ばかりになり、家賃滞納・夜逃げリスクが急増
- 最終的に破産または任意売却
シナリオ3:即座に売却を試みた場合
- 土地30坪では戸建て建築不可(最低40坪必要)
- ファミリー層は買わない
- 投資家も収益性を見れば買わない
- 買い手がつかず、値下げを繰り返す
- 500万円程度で売却できれば御の字 → 650万円の損失確定
プロが見抜いた「安い理由」
この物件が最安値だった理由は明確です。
1. 道路幅3.8mの致命的デメリット
- 車の離合(すれ違い)ができない
- 引っ越しトラックが入れない
- 緊急車両(救急車・消防車)が入れない可能性
- 道路幅の狭さ = 不動産価値の低さ という鉄則
2. 土地面積30坪の出口戦略ゼロ
- 戸建て建築には最低40坪必要(車庫込み)
- ファミリー層がターゲットにならない
- 投資家も収益性で買わない
- 売るに売れない物件
3. 築34年 × 1K単身 = 入居困難
- 学生は新しい物件を選ぶ
- 低所得者層も1.5万円では厳しい
- ターゲット層が存在しない
4. 競合物件が多すぎる
- 周辺に学生向け単身アパートが乱立
- より新しく綺麗な物件が隣接
- 差別化が不可能
「人口増加エリア=安全」という勘違い
福岡市は人口150万人で右肩上がりに増加中です。一方、北九州市は人口96万人から減少中です。
一般的な不動産投資の教科書では「人口増加エリアで買えば安全」と書かれています。
しかし、この物件は福岡市(人口増加エリア)にあるにもかかわらず、破産物件です。
なぜか?
人口増加は「市全体」の話であり、「その物件のエリア」とは別問題だからです。
福岡市の中でも、この物件があるエリアは:
- 学生向け単身アパートが乱立
- 道路幅が狭く車の利便性が悪い
- より良い物件が近隣に多数存在
つまり、人口が増えていても、その恩恵を受けられないエリアが存在するのです。
まとめ:投資判断の結論
結論
この物件は絶対に買ってはいけません。買った瞬間に破産ルートが確定します。
推奨アクション
- 安い順で検索するのをやめる – 安いには理由がある
- 人口増加エリア = 安全という思い込みを捨てる – エリア内の個別分析が必須
- 必ず現地確認をする – 不動産屋の情報は鵜呑みにしない
- 道路幅を必ずチェックする – 4m未満は要注意、3.8mは論外
- 土地面積を確認する – 30坪では出口戦略が描けない
- 実勢家賃を自分で調査する – 不動産屋の情報は過大評価されている
- 競合物件を徹底的に調べる – 差別化できなければ入居者は来ない
注意点
- 不動産屋の言うことを鵜呑みにしない(「満室です」と言われても現地確認したら半分空室だった)
- 広告利回りと実質利回りは全く別物
- 「安い=お得」ではなく「安い=何か問題がある」と疑う
- 人口増加エリアでも、個別物件のリスクは変わらない
最後に
不動産投資は「安く買って高く売る」ゲームではありません。安定したキャッシュフローを生み出す資産を手に入れるビジネスです。
この物件のように、安さだけに飛びついて破産する投資家が後を絶ちません。
逆に言えば、こういった失敗パターンを学んでおけば、避けられる失敗がたくさんあるということです。
不動産投資で成功するためには、勉強と現地確認が絶対に必要です。この記事が、あなたの不動産投資の参考になれば幸いです。
参考情報
- 物件調査日: 動画投稿日時点
- 調査エリア: 福岡県福岡市(福岡大学周辺)
- 調査方法: 現地訪問 + 不動産屋ヒアリング + 周辺物件調査
この記事は実際の投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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