竹田恒泰×公明党・いさ進一対談:「解脱発言」から見えた公明党の実像
はじめに
竹田恒泰氏がテレビ番組「そこまで言って委員会」で「公明党の自民党からの離脱は解脱だ」と発言したことをきっかけに、公明党のいさ進一氏(元国会議員・現落選議員)との対談が実現した。
この発言は大きな波紋を呼び、読売テレビには大量の抗議電話が殺到。しかし竹田氏は自らの責任を明言し、「公明党の議員や創価学会の方で議論したい方がいれば直接来てください」と呼びかけた。その結果、両チャンネルでの同時配信という形で率直な対談が行われることとなった。
本記事では、この対談から見えてきた公明党の実態、自公連立離脱の背景、そして両者が合意した点や新たな気づきについて整理する。
参考動画: 竹田恒泰×いさ進一 対談動画
1. 発言の経緯:なぜ「解脱」という言葉を使ったのか
竹田氏の2つの問題提起
竹田氏は「そこまで言って委員会」で主に2つの問題を提起していた:
1. 公明党の離脱は「解脱」だ
「皆さん離脱って言うけど、これは解脱なんだ」「次の選挙で入滅するかもしれない」という発言をした。これは単なる批判ではなく、竹田氏なりの疑問からだった。
竹田氏: 「公明党は離脱で失うものがいっぱいある。野党としての地位、国務大臣のポスト、次の選挙だって大変厳しい。何のために何を持ってやるのかが分からなかった。これはもう政治的な野心とかそういうものから解き放たれた、解脱の境地に達したということでなければ理解できないという、そういう意味だった」
2. 斎藤代表の不記載問題と二重基準
斎藤代表には4回の不記載があるが、自民党議員なら「裏金」と呼ばれるのに他党だと「不記載」と呼ばれるのはおかしい、という二重基準を指摘した。
竹田氏: 「裏金という言葉は文学的表現。不記載が事実。でも会計的に言うと不記載が生じるとそのお金は裏金になる。法律を犯す意図があってもなくても、重修性があってもなくても、たった1回でも不記載した分は裏金になっちゃう」
批判の嵐と責任表明
この発言に対し、読売テレビには大量の抗議電話が殺到。番組に出演していた西田亮介氏(社会学者)や久保田直子アナウンサーが「ニヤっとした」ことにも猛烈な批判が向けられた。
竹田氏はXで「これは全部私の責任です」とコメント。「放送局も一応編集して放送するという責任はありますけども、でも一応私の責任なので、これ全部私の責任ですよ」と表明し、直接対話の場を設けることとなった。
2. 自公連立離脱:両党支持者の7割が賛成していた真実
なぜ離脱したのか?
竹田氏の最大の疑問は「なぜ公明党は離脱したのか」だった。対談で明らかになったのは、両党の支持者の7割が離脱に賛成していたという事実だった。
いさ氏の説明:
– 自民党支持者の7割以上が離脱に賛成
– 公明党支持者の7割程度も離脱に賛成
– 長年の連立で「言いたいことが言えない歪み」が両党に蓄積していた
連立の歪み:両方から叩かれる構図
竹田氏の理解: 「一緒にいることで自民党は公明党に配慮し、公明党も自民党に配慮する。自民党を応援する人からすると『なんでそこで足引っ張るな』と言われるし、リベラルからすると『自民に魂を売ったのか』『平和の党どこ行った』みたいな。両方から叩かれてた」
いさ氏の心情: 「心情的には残念。価値観が違う政党同士が協議することで、多くの国民の価値観に沿った60点や70点の答えを出せていた。平和安全法制でも安倍総理と太田代表がぶつかり合って、最終的に国民が納得できるラインに落とし込んだ。この機能が失われるのは残念」
両党とも変わる必要がある
いさ氏は率直に認めた:「公明党だけが問題あったわけじゃなく、自民党にも公明党にも問題があった」
自民党の問題: 不記載で非公認になった候補に公明党が推薦を出していた(選挙戦略かもしれないが良くなかった)
公明党の問題: これから野党として変わっていく必要がある
いさ氏: 「これから我々、野党になりましたけど多分公明党もう変わっていくと思うんですよ。どんどん変わってくと思います」
3. 公明党≠創価学会:得票の6割は学会員以外という事実
竹田氏の誤解と多くの人が持つイメージ
竹田氏は「創価学会の話をしていないのに、宗教が踏みにじられたという批判が来た」と述べた。多くの人が公明党=創価学会というイメージを持っているが、実態は異なる。
いさ氏が示したデータ
いさ氏は自身の選挙データを提示して説明した:
- いさ氏が当選する時の得票は約10万票
- このうち公明党の比例票(≒創価学会票)は約3〜4万票
- 残りの6〜7万票は自民党支持者や維新支持者など
いさ氏: 「私は創価学会のために仕事してるわけじゃない。池田大作名誉会長も何度も『日本のためにあるのがお前らの仕事だ』と言っている。日本のために何ができるかが仕事。実態上イコールではない」
大衆政党として脱皮する必要性
竹田氏の提案: 「世の中のイメージはイコールで捉えられている。支持者の半分以上が違うようになってくると、公明党としてのすごみというか、もっとオープンにした方がいい」
いさ氏の同意: 「世の中のイメージはイコール。これをどう払拭というか乗り越えて大衆政党として脱皮していくかが大事」
両者は、公明党が創価学会とは実態として異なることを明確にしつつ、そのイメージギャップを埋める必要性で合意した。
4. 対中外交の真実:「親中」イメージと実態の大きなギャップ
竹田氏が持っていた「親中」イメージ
竹田氏は5年間公明新聞を読んでいた経験から、以下の理由で「親中イメージ」を持っていた:
- 公明新聞に中国との交流が紙面に多数登場
- ウイグル人権問題の非難決議で「中国」という言葉が入らなかった(公明党が止めたと思われている)
- 山口代表の訪中が「パンダをお願いしに行った」と報道された
竹田氏: 「これ多分公明党が止めたなみたいにみんな思ってると思うんです」
メディアが報道しない真実
いさ氏は外務省から技術記録を取り寄せて読んだと明かし、山口代表が実際には厳しいことを言っていたことを説明した:
山口代表の実際の発言:
– 日本の水産物について「IAEAがOKと言ってるのになぜダメなのか」
– 「日本人学校での事件、日本人の安全を守るのは政府の義務でしょう」
– 「拘束されている人を早く返せ」
いさ氏: 「王毅さんとガチンコでやり合っていた。プレスリースでもぶら下がりでも言ってるのに、メディアが報道したのは『パンダお願い』だけ。なんやねんそれと思う」
ウイグル人権問題の真相
いさ氏は「公明党が止めた」という見方に対し、実態を説明:
- 公明党だけでなく自民党の幹事長や保守ではない自民党議員も意見を言った
- 「ジェノサイド(大量虐殺)」という表現は国連も使っていない
- 国連は「人権侵害の懸念がある」というライン
- 公明党もこのラインで発言している
- アメリカはジェノサイドと言っているが、EUはそこまで言っていない
- 国際的なスタンダードに合わせた
竹田氏の提案:「瞬発力」が重要
竹田氏: 「裏で厳しいことを言ってても見えないから親中に見える。先陣を切ってバッと言うとそれが最初のニュースになる。公明党変わったなってなる。周りを見ながらじゃなく、1番的確に1番するとこドーンって1番最初に行くのがチラチラ見えるとイメージ変わる」
中国からの「指令」疑惑を論破
いさ氏が「斎藤代表は連立離脱の4日前に中国大使と会談していたので『指令があったんじゃないか』とTwitterで盛り上がっていた」と述べると、竹田氏は明快に論破した。
竹田氏の論破: 「普通に中国にとって何が一番嬉しいかというと、ずっと政権の中にい続けてくれることですよ。そっから情報抜く方がいい。会った後に離脱してるのはある意味逆。中国が言うべきことは『頼むから離脱せんといてくれ』という話だと思います」
リアリズムの外交
いさ氏: 「我々が一番意識してるのはリアリズムの外交。外交って感情でやるもんじゃない。中国ムカつくってなって、会いに行くだけで『あいつ親中や』。でも会って言わないと日本の国益って伝わらない。なんかあった時でも中国にちゃんとものが言える関係は作っとかなあかん」
竹田氏もこの考えに理解を示した。
5. 宗教と政治:創価学会と神道の関係は30年で大きく変化
竹田氏の立場:政教分離には違反していない
竹田氏は統一協会問題で「宗教と政治」が議論された際、武田チャンネルで公明党を擁護していた:
- 創価学会が政治活動するのは憲法に保障された自由
- 政教分離とは国家が特定の宗教団体を弾圧したり優遇したりすることを禁じるもの
- 宗教団体の政治活動自体は禁止されていない(神道政治連盟なども存在)
30年間で大きく変化した神道との関係
竹田氏の質問: 「昔は修学旅行で神社に行くとき『うちの子を鳥居をくぐらせないで欲しい』と学校が困っていた。それが今もあるのか?」
いさ氏の回答: 「小学校の頃まではそんな雰囲気ありましたが、この30年ぐらいでだいぶ変わりました。僕はこの夏、どんだけ神輿担いだか分かんないぐらい。Xにアップしたら、支援者じゃない人が『こいつなんかこんなことやって大丈夫か』みたいなコメントもらうくらい全然気にしてない」
ただし: 「鳥居はくぐるけど、神社の本殿の前で手を合わせることはしない。それは信仰の世界なので」
神道の作法は「文化」か「信仰」か
竹田氏が「G7の時にキリスト教の首脳も二礼二拍手一礼をしていた」と指摘すると、いさ氏は以下のように応答:
いさ氏: 「我々は日本人だし仏教徒なので、祈る行為で自分の信仰とは違う信仰に祈るっていうのがちょっと密接に感じる。でもある意味文化的なもんなんだと理解して、自分の中ですっと落ちればやってもいい」
宗教間対話の重要性
いさ氏: 「異なる宗教間同士の対話って絶対大事。キリスト教であれ、イスラム教であれ、宗教ってその教祖の思いに立ち返ると、人のために何ができるかとか、平和のために何ができるかとか、やっぱその理念っていうのはしっかりしたものがあるからこんだけ広まってる。世の中でちゃんとした宗教間同士の対話っていうのはすごい大事」
竹田氏のイメージを変えた太田代表の行動
竹田氏は21年前、女性・女系天皇論が議論された際に「女系天皇はダメ」という本を書いた。
竹田氏: 「当時の公明党代表の太田さんがミクシーで『この本読みます』と画像を載せて、感想で『すごく勉強になって納得した』と書いていた。僕の頭の中では創価学会の人は鳥居もくぐらない、天皇の存在認めないんじゃないかという頭があったので、公明党の代表が僕の本読んで納得したって書いてるのはびっくりした。そこで公明党のイメージが変わった」
いさ氏の親の例: 「私が国会議員で天皇陛下からタバコをいただいた時、両親(創価学会員)がめちゃめちゃ喜んで仏壇に備えてました」
皇室外交の重要性
いさ氏: 「北京で外交官やってた時にすごい思ったのは皇室外交ってめっちゃ大事。江沢民さんって反日教育やってたでしょ。日本に来て上から目線でわーっと言ってたけど、天皇陛下に拝謁する時って秒単位で決まる。すごい静粛なところで粛々と進む。あれが結構なインパクトだったらしく、すごい上から目線だった江沢民さんがすごいなんつうんですか、かしこまってる感じを見た。トランプさんだって天皇陛下にお会いする時ってボタン閉め直したりした。日本って一番の権力者である総理の上に、まあ上じゃないかもしれないけど国家の象徴として天皇陛下がいらっしゃるっていうのは僕はすごい重いなと思って」
6. 公明党の課題:代表選がない、金太郎飴に見える
代表選がない政党
竹田氏の指摘: 「公明党って代表戦やったことないですよね」
いさ氏の説明: 「一応制度あるんですよ。でも毎回1人しか立候補しない」
竹田氏の提案: 「代表戦をした方がいい。自民党なんか決まっても『俺は違うんだ』みたいなみんなもう勝手なこと言うじゃないですか。決まっても中で『いやいやもう全然違うから』みたいな人がいた方がリアリティがある」
党内の多様性を見せる重要性
いさ氏: 「党はこう言ってるけど、僕はここんとこおかしいよってのを実はもう結構言うようにしてます。リアリティがある。一番リアリティがないのが共産党。誰が語っても同じことを言う。ちょっとでも違うこと言うともう速攻粛清される。北朝鮮みたいなもん。金太郎飴になっちゃう」
両者は「党が決まったっていや俺は納得してないってのがあるのが普通」という点で合意。公明党も党内の多様な意見をもっと外部に見せるべきという認識を共有した。
国土交通大臣固定化の理由
竹田氏の疑問: 「ずっと同じ大臣のポストを続けてきたところも批判されるところ。利権はないって言うなら別の大臣でもいいんじゃないか。でも国土交通大臣をずっとってなるとやっぱり疑った見方をされる」
いさ氏の説明: 「全然国土交通大臣にこだわってませんよ。うちの場合1つあり得るなと思ってるのは、普通内閣改造ってしたらドカっと変わるじゃないですか。でもうちって人があんまりないので毎回変えれないわけですよ。そうすると結構長めになる。第1次岸田政権、第2次岸田政権であと変わったとしてもずっとここ同じ人。昔は斎藤代表って環境大臣やってましたよね。昔は違うとこありましたよ。太田さんの時からかな国土交通大臣になったの」
国土交通大臣の固定化は利権ではなく、人材不足が一因だったことが明らかになった。
7. 中国のハニートラップ:自民党議員への実態
竹田氏の暴露
竹田氏は複数の自民党議員から聞いた話として以下を明かした:
竹田氏: 「中国に行った自民党議員、何人からも同じ話聞いた。夜コンコンって来る。ドアを開けてみるとど真ん中が来る。本人の好みのど真ん中で的確に女性の好みとか調べ上げてきて、『この人と今晩過ごせるんだったら自分の人生どうなってもいい』と思っちゃうぐらいど真ん中が来る。それを断る人もいれば中には一線を超えちゃう人もいたかもしれない」
「公明党の議員も結構持ってかれちゃってる人いるんじゃないか?」
いさ氏の対策
いさ氏: 「私は何度も中国行ってますけど、今んとこハニートラはなかったです。ハニートラはないけど通信はだいぶ気をつけてました。携帯は例えば大使と話す時とか重要な会議の時は携帯は電波が通らない箱に入れるとか。書類は絶対ホテルで捨てないでくださいとお願いしたりとか」
「少なくとも私は公明党議員がハニートラにかかったって話は聞いたことないですけど」
ユーモアのある締めくくり
竹田氏: 「中国政府が私のど真ん中をどういうタイプで見てるか1回見てみたいですよ」
いさ氏: 「1回はズレとか(笑)チェンジって」
8. まとめ:対談から見えた合意点と今後の展望
両者が合意した5つのポイント
- 自公連立離脱は自然な流れだった – 両党支持者の7割が賛成し、長年の「言いたいことが言えない歪み」があった
- 公明党≠創価学会 – 得票の6割は学会員以外。もっとオープンに大衆政党として脱皮すべき
- 対中外交はリアリズムが必要 – 感情ではなく、言うべきことを言える関係を維持すべき
- 党内の多様性を見せるべき – 代表選の実施や党内の異なる意見を外に見せることでリアリティが出る
- 宗教間対話の重要性 – 異なる宗教間同士の対話は平和のために不可欠
対談から明らかになった新たな気づき
- 創価学会と神道の関係は30年で大きく変化 – 鳥居をくぐらないから神輿を担ぐまでに変化
- 公明党の情報発信力の弱さ – 厳しいことを言っても報道されず「親中」イメージが定着
- 「瞬発力」の重要性 – 先陣を切って発言することでイメージが変わる
- 国土交通大臣固定化は人材不足が一因 – 内閣改造のたびに変えられるほど人がいない
- 自民党議員へのハニートラップは実在 – 公明党議員には確認されていない
今後の展望
いさ氏: 「これから我々、野党になりましたけど多分公明党もう変わっていくと思うんですよ。どんどん変わってくと思います」
竹田氏: 「こういうひょんなきっかけで対談ができるようになったの私は嬉しいなと思ってます」
いさ氏: 「そう言っていただけるとありがたいですけども」
おわりに
「解脱発言」という批判から始まった今回の対談は、公明党の実態と課題を率直に語り合う貴重な機会となった。
竹田氏の鋭い質問に対し、いさ氏が党の内情や課題を包み隠さず語ったことで、公明党のイメージと実態のギャップが明らかになった。
特に印象的だったのは以下の点だ:
対中外交の実態: 山口代表は王毅氏とガチンコでやり合い厳しいことを言っているのに、メディアは「パンダお願い」としか報道しない。外務省の技術記録には厳しい発言が記録されているが、それが国民に伝わっていない。
公明党≠創価学会の実態: 得票の6割は創価学会員以外。しかし世の中のイメージはイコールで捉えられている。この認識ギャップを埋めることが大衆政党として脱皮するために必要。
30年間の変化: 創価学会と神道の関係は大きく変化し、鳥居をくぐらなかった時代から神輿を担ぐ時代へ。宗教間対話を重視する姿勢も明確。
自公連立離脱という大きな転換点を迎えた今、公明党が野党としてどう変わっていくのか。いさ氏の言葉通り「変わっていく」のであれば、その変化を国民に伝える情報発信力の強化が鍵となるだろう。
竹田氏が提案した「瞬発力」 – 先陣を切って発言すること、1番的確に1番するところをドーンと1番最初に行くこと – は、公明党のイメージ刷新に向けた具体的なヒントとなりそうだ。
参考動画: 竹田恒泰×いさ進一 対談動画
本記事は上記YouTube動画の字幕を基に作成しました。

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