軽井沢別荘地の今:三菱地所の再開発と土地価格10年で2倍、投資対象としての評価は?【滝島プロ現地レポート】
冒頭文
軽井沢——外国人投資家の注目を集め、土地価格が10年で2倍に高騰した日本屈指の別荘地。三菱地所による駅前再開発、長野県内で最高額のツボ単価、そして冬でも賑わう観光地としての実力。不動産のプロ・滝島氏が現地を徹底調査し、軽井沢の投資価値と市場の実態を明らかにする。
軽井沢駅前の変貌:三菱地所による2026年再開発
駅前商業エリアの大規模開発
軽井沢駅前には白いフェンスで囲われた広大なエリアが存在する。ここは三菱地所が手掛ける商業エリアとして2026年開業予定の再開発現場だ。
再開発の概要:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発主体 | 三菱地所 |
| 開業予定 | 2026年 |
| 用途 | 商業施設 |
| 立地 | 軽井沢駅前(タクシー乗り場付近) |
| 意義 | 大手デベロッパーの軽井沢進出 |
滝島氏の見解:
「天下の三菱地所様が軽井沢まで進出してここを開発している。軽井沢に色々資本が入っている1つの現れではないか」
軽井沢の3大エリアと別荘地の実態
エリア別特徴
軽井沢町には主に3つのエリアが存在する:
- 旧軽井沢 – 歴史ある別荘地
- 中軽井沢 – 中心部
- 追分 – 調査対象エリア
追分エリアの別荘地視察
現地の様子:
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 景観 | 林道が真っ直ぐ続く絵に描いたような別荘地 |
| 建物の状態 | 新築おしゃれな建物と古い建物が混在 |
| 車の通行量 | 結構多い(他の別荘地と比較して) |
| 商業施設 | アトリエ村に飲食店あり(朝早く訪問時は閉店) |
| ツボ単価 | 77,000円程度(追分エリア) |
他の別荘地との比較:
滝島氏の指摘によれば、富士山麓の遊園地会社が運営する別荘地などは「死んでいる」状態で、分譲された林がたくさんあるだけで家が建っていないことがほとんど。
一方、軽井沢の追分エリアは:
– 家がしっかり建っている
– 車の通行量が多い
– 飲食店が成立する
これらの点から「すごい栄えてる別荘地」と評価している。
土地価格の驚異的な上昇:10年で2倍
軽井沢町全体の価格推移
| 時期 | 平均ツボ単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 10年前(2014年頃) | 約25万円 | – |
| 2024年 | 50万円超 | 10年で2倍 |
| 地位 | 長野県内1位 | – |
価格上昇の背景:
- 北陸新幹線の開通 – アクセス向上
- コロナ禍のリモートワーク需要 – 2拠点生活
- 外国人投資家の購入 – 台湾・香港中心
- 軽井沢風越学園の開校 – 30〜40代の移住需要
エリア別価格差:最高150万円/ツボの超高級エリアも
価格帯の詳細
| エリア | ツボ単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 追分エリア | 約7.7万円 | 比較的安価 |
| 軽井沢町平均 | 50万円超 | – |
| 鹿島の森(最高級) | 60万〜150万円 | 鹿島建設分譲 |
超高級物件の例(視察物件):
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 物件価格 | 1億5,800万円 |
| 土地面積 | 230ツボ |
| 建物面積 | 60ツボ |
| 間取り | 4LDK(吹き抜け・アイランドキッチン・キャットウォーク付き) |
| 建築年 | 2021年 |
| 特徴 | シャンデリア・暖炉・2階建て・豪華仕様 |
東京都内で同等物件を建てた場合:
- 土地(230ツボ × 500万円/ツボ):約11億円
- 建物(60ツボ):約7,000万円
- 合計:約12億円
→ 軽井沢の1億5,800万円は相対的に「安い」
別荘地の基準面積:最低1,000ツボ分譲が主流
軽井沢の土地取引基準:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 今回視察物件 | 230ツボ(小さめ) |
| 通常の分譲 | 1,000ツボ以上 |
| 超高級エリア | 1,000ツボ × 150万円/ツボ = 15億円(土地のみ) |
滝島氏のコメント:
「230ツボって小さい方なんですって。通常はやっぱり1,000ツボとかから分譲場するらしい」
軽井沢銀座の賑わいと観光客の実態
観光客の構成
取材による聞き込み結果:
| 情報源 | 主要観光客 | コロナ前との比較 |
|---|---|---|
| 観光案内所 | 台湾・香港が6〜7割 | やや少なめ |
| 飲食店(果物飴店) | 台湾系が多い | 冬は閑散期 |
| 全体傾向 | インバウンド中心 | コロナ前と同程度かやや少なめ |
商業物件の賃料相場
軽井沢銀座近くの店舗物件(2階):
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 面積 | 124平米 |
| 年間賃料 | 200万円 |
| 月額賃料 | 約16万円 |
| ツボ賃料 | 約4,500円 |
| 評価 | 「安い」(滝島氏) |
| 前テナント | ピザ屋 |
| 特記事項 | 上階は宿舎利用可能 |
滝島氏の投資アイデア:
「超改装費かかりますけど、ワンチャン宿泊施設にしたら儲かるかもしれない。ロケーション完璧じゃないですか。宿舎できるんだったらいけると思いますよ、割と。ただ内装費2,000万ぐらいかかる」
別荘購入者の属性:7割が日本人、3割が外国人
不動産管理業者へのインタビュー結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入者比率 | 日本人70%、外国人30% |
| 外国人の影響 | 価格を釣り上げている認識は薄い |
| 価格上昇要因 | 物件数の減少 |
| 支払い方法 | キャッシュ購入がほとんど(日本人も) |
| 購入動機 | 別荘利用・2拠点生活・移住(軽井沢風越学園) |
購入者の年齢層:
– 別荘利用:富裕層全般
– 移住(風越学園):30〜40代の家族
使用パターン:
1. 週末のみ軽井沢、平日は東京(夫のみ)
2. 家族は軽井沢定住、夫は週末のみ来訪
3. 完全移住
賃貸投資需要の変化:2年前は盛況、現在は供給過多
賃貸市場の推移
| 時期 | 状況 | 詳細 |
|---|---|---|
| 2年前 | 賃貸物件が非常に少ない | 投資目的で土地購入→建築→賃貸が活発 |
| 現在 | 余ってきている | なかなか入居されない物件も |
| 背景 | リモートワーク需要の一巡 | – |
賃貸需要の背景:
– 軽井沢風越学園への通学
– リモートワークでの都心離れ
– 別荘的な賃貸利用
価格上昇の歴史:2008年リーマンショック以降の軌跡
価格変動の節目
| 時期 | 出来事 | 影響 |
|---|---|---|
| 2008年 | リーマンショック | 市場低迷 |
| その後 | 株高・都心不動産上昇 | 連動して上昇 |
| 北陸新幹線開通 | アクセス向上 | 北陸方面からの来訪増加 |
| コロナ禍 | リモートワーク普及 | 一気に価格上昇 |
| 同時期 | 軽井沢風越学園開校 | 移住需要増加 |
| 結果 | 土地価格 | コロナ前比2倍以上 |
軽井沢が選ばれる理由:新幹線1時間のアクセス
他の別荘地との差別化要因
不動産業者の見解:
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 交通アクセス | 新幹線で東京から1時間 |
| 高速道路 | インター降りてすぐ |
| 地理的優位性 | 長野県の最南端(東京に近い) |
| 積雪量 | 白馬などと比べて少ない |
滝島氏のコメント:
「長野県って上下ですからね。上の方の長野県と下の方の長野県では通常の県が3つぐらい挟まれるぐらい距離ありますから。東京からの通勤アクセスなんですかね」
投資対象としての軽井沢:滝島氏の辛口評価
投資判断のポイント
懸念事項:
- 賃貸需要の弱体化
- 2年前は盛況、現在は供給過多
- 賃貸が弱い = 投資として弱い
- エリア格差が大きい
- すでに価格差が顕著
- 伸び率も今後は下がる可能性
- 希少性の高いエリアは高額
- 投資資本が大きく必要
- 鹿島の森など:土地だけで15億円規模
ポジティブ要素:
- 店舗物件(軽井沢銀座近辺)
- 賃料:月16万円程度(宿舎可能)
- 立地:軽井沢銀座至近
- 可能性:簡易宿所として運営すれば収益化の余地
- リスク:初期投資(内装費2,000万円程度)
滝島氏の総合評価
「賃貸が弱くなってるっていう話なんですね。賃貸が弱くなるとやっぱ投資として弱くなるパターンが多いんですよ。これから大きな値上がりって考えると他の場所の方がいいのかもしれない」
「すでにエリアによってだいぶ値段の差があるんで、伸び率もだいぶ下がると思うんですよ。希少性が高いところで抑えることができたら大きな値上がりがあるのかもしれないんですけど、話を総合すると希少性が高いところはそもそも高いんで、かなりの投資資本が必要なのかなと思いました」
店舗物件の投資可能性:簡易宿所としての活用
視察した店舗物件の詳細
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | 軽井沢銀座近く(徒歩圏) |
| 階数 | 2階 |
| 面積 | 124平米 |
| 月額賃料 | 約16万円 |
| 年間賃料 | 200万円 |
| 上階用途 | 宿舎可能 |
| 前テナント | ピザ屋(飲食店) |
投資試算(滝島氏の考察):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 内装改装費 | 約2,000万円 |
| 月額賃料 | 16万円 |
| 年間賃料 | 192万円 |
| 投資利回り(概算) | 約9.6%(賃料のみ・宿泊収入除く) |
| 立地評価 | 完璧(軽井沢銀座至近) |
| 宿泊施設可能性 | 高い(上階宿舎利用可) |
滝島氏の見解:
「超改装費かかりますけど、ワンチャン宿泊施設にしたら儲かるかもしれないです。だってこれロケーション完璧じゃないですか。駅徒歩ですよね。多分宿舎行けるんだったらいけると思いますよ、割と」
まとめ:軽井沢不動産市場の現状と投資判断
市場の特徴
- 価格上昇の実績
- 10年で2倍(25万円/ツボ → 50万円/ツボ)
- 長野県内1位の地価
- 購入者の属性
- 日本人70%、外国人30%(台湾・香港中心)
- キャッシュ購入が主流
- 富裕層・移住希望者
- 開発の進行
- 三菱地所の駅前再開発(2026年)
- インフラ整備の継続
- 賃貸市場の変化
- 2年前:需要旺盛
- 現在:供給過多の傾向
投資判断の要点
慎重派(滝島氏)の見解:
✅ ポジティブ要素:
– 三菱地所など大手の参入
– 新幹線1時間のアクセス
– 店舗物件の割安感(簡易宿所転用の可能性)
❌ ネガティブ要素:
– 賃貸需要の弱体化
– エリア格差が大きく、今後の伸び率低下懸念
– 希少性高いエリアは投資額が巨大
推奨される投資スタイル:
– 大規模資本での超高級エリア取得
– 店舗物件の簡易宿所転用
– 自己使用目的の別荘購入
避けるべき:
– 中途半端な価格帯での賃貸投資
– 賃料収入のみを期待した投資
動画情報
チャンネル名: 不動産ジメの滝島
動画タイトル: 軽井沢の不動産市場視察
撮影日: 2024年(冬季・閑散期)
主な訪問地: 軽井沢駅前、追分エリア、軽井沢銀座

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