「3タ目契約」の仕組みと危険性を徹底解説【滝島一統×稲川瑞穂】
YouTube動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=bmDR1Z3ViGE
概要
不動産投資家・滝島一統氏とスピードスケーターで不動産投資家の稲川瑞穂氏が、不動産業界で横行する「3タ目契約」(第三者のためにする契約・中間省略取引)の仕組み、リスク、見極め方について詳しく解説しています。
3タ目契約とは
正式名称
「第三者のためにする契約」の略称が「3タ目契約」です。別名「中間省略取引」とも呼ばれます。
仕組みの解説
通常の不動産取引では:
売主 → 買主A(終了)
しかし、3タ目契約では:
売主 → 買主A(第1契約) → 買主B(第2契約)
重要なポイント:
- 買主Aは契約書上は「買主」だが、登記簿には載らない
- 買主Aは物件を転売する権利を持つ
- 最終的な登記名義人は買主B
- 契約書の特約に「最終的な登記名義人は第三者が指定することができる」と記載
具体例
- 売主が1億円で物件を売り出す
- A社が手付金30〜50万円で契約(決済まで3〜6ヶ月の猶予をもらう)
- A社がカモ(買主B)を探す
- A社が1億2,000万円でカモに転売
- 中間マージン2,000万円をA社が抜く
A社は登記に載らないため、登記簿を見ても中間業者の存在がわからない仕組みです。
3タ目契約が多く使われるケース
1. ワンルームマンション売買
滝島氏の証言:
「ワンルーム業者の契約は、新築の売主物件以外はほぼこれ(3タ目契約)です。」
なぜワンルームで多いのか:
- ワンルームは一般ユーザーが買わない
- 仕入れ業者(ワンルーム販売会社)が買い取って転売する市場構造
- 業者は3タ目契約で中間省略することで、リスクを最小限にできる
2. 物上げ業者の転売
- 物件を安く仕入れて高く売る「物上げ業者」
- 中間業者が何社も挟まることもある(3社、4社と連なるケースも)
3タ目契約のメリット(業者側)
1. 少額の手付金で大量の物件を確保
- 2,000万円の物件を手付金30〜50万円で契約
- 決済まで3〜6ヶ月の猶予があるため、その間にカモを探せる
- 少額資金で複数の物件を同時に押さえられる
滝島氏の説明:
「2,000万円かけて1件仕入れるのと、30万円で1件仕入れるのとでは全然違う。たくさん仕入れられる。」
2. 登記費用・不動産取得税の節約
- 中間業者として登記しないため、登記費用がかからない
- 不動産取得税も発生しない
3. リスクの最小化
- カモが見つからなければ:
- 手付解約(手付金を放棄して契約解除)
- または違約金を払って解約(物件価格の2割=約400万円)
- または自分で買い取ってさらに時間をかけてカモを探す
3タ目契約が”できない”ケース
大手仲介会社の関与
滝島氏の証言:
「大手の場合は、3タ目契約はコンプライアンス上できない。」
理由:
- 不動産転がしを助長するシステム
- 公序良俗に反する取引という判断
- 大手はコンプライアンスを重視
代替手段:同日決済
大手が関与する場合、「同日決済」という手法が使われます:
- 売主→業者Aへの決済と、業者A→買主Bへの決済を同じ日に実行
- 登記簿上は同日に名義変更されている
- 形式上は3タ目契約ではないが、実質的には同じ
同日決済のデメリット(業者A側)
同日決済の場合、中間業者Aは以下の損失を被ります:
1. 不動産取得税の負担
- 1回買ったことになるため、不動産取得税が発生
- 3タ目契約なら発生しない税金
2. 登記費用の負担
- 登記手続きの費用が発生
3. 資金繰りのリスク
- 1億円の物件なら、決済時に1億円を用意しなければならない
- 3タ目契約なら手付金だけで済む
3タ目契約の見極め方
滝島氏が教える簡単な見極め方法:
「契約書上の売主と登記簿上の名義人が違ったら、3タ目契約の可能性が高い。」
具体的なチェック方法
- 契約書の売主名を確認
- 登記簿謄本の所有者名を確認
- 両者が異なる場合 → 3タ目契約の可能性が高い
価格のチェック
- 物件名で検索して市場価格を調べる
- 契約書の価格が市場より2割以上高い場合は要注意
ワンルームマンションの危険性
滝島氏の警告:
「3タ目契約のワンルームは150%乗せられていると思った方がいい。」
つまり、市場価格の1.5倍で売りつけられている可能性が極めて高いということです。
3タ目契約の実例:間に3社が挟まったケース
滝島氏が実際に経験した驚きの事例:
売主 → 業者A → 業者B → 業者C → 最終買主
- 間に3社の中間業者が挟まっていた
- 売主が市場価格より「とんでもない安値」で売却
- 各業者が少しずつマージンを抜く
- 最終買主は「市場より安い」と喜んで購入
- 売主だけが大損
滝島氏のコメント:
「売主はすごい損していた。その損した分を間に入っている業者が分け分けして、最後に買った人も市場よりいい値段だから喜んで買った。」
なぜ中間業者が複数挟まるのか
1. カモを探す能力の不足
最初の仕入れ業者が自分でカモを見つけられない場合、他の業者に協力を依頼
2. レインズに載せられない
- 3タ目契約は決済・登記していないため、レインズ(不動産流通機構)に掲載できない
- 口コミや人脈でカモを探すしかない
- 「俺、知り合いいるぜ」と業者が次々に挟まる
3タ目契約でも良い物件はあるのか
滝島氏の見解:
「中には3タ目契約をした上でもお得な物件というのもある。ワンルーム以外の一棟物とかなら、もしかしたら3タ目された上でもいい物件もあるかもしれない。」
ただし:
- その見極めは極めて難しい
- 目利きができる人に相談すべき
- ワンルームマンションは150%乗せられていると考えるべき
3タ目契約が許される例外ケース
滝島氏が実際に経験した「仕方ない」ケース:
- 売主が高齢で心変わりしやすい
- 成年後見人制度を使うほどではない
- 親族から「一度買主契約をしてほしい」と依頼された
- やむを得ず3タ目契約を利用
このような特殊事情がある場合は、3タ目契約も有効な手段となることがあります。
サラリーマン投資家への警告
基本的な心構え
滝島氏の警告:
「サラリーマン投資家は3タ目契約は警戒した方がいい。」
特にワンルームマンション
「基本的に3タ目契約のワンルームは150%乗せられていると思った方がいい。」
チェックリスト
不動産購入時は以下を必ず確認:
- ✅ 契約書の売主名
- ✅ 登記簿謄本の所有者名
- ✅ 両者が一致しているか
- ✅ 物件名で検索して市場価格を調査
- ✅ 契約価格が市場価格と比較して妥当か
3タ目契約の本質
滝島氏は動画の中で、3タ目契約について以下のようにまとめています:
「良い取引にすることもできるし、悪用することもできる。不動産業界でよく横行しているシステムです。」
善用の例:
- 売主の特殊事情への対応
- 複雑な権利関係の整理
悪用の例:
- カモに市場価格より大幅に高い価格で売りつける
- 中間業者が複数挟まって暴利を貪る
- ワンルームマンション販売での常套手段
まとめ
3タ目契約の危険性
- 価格の不透明性: 中間業者が何社挟まっているかわからない
- ワンルームは150%: ワンルーム3タ目契約はほぼ確実に高値掴み
- 見極めが困難: プロでも判断が難しい
- 登記簿でわからない: 中間業者の存在が登記簿に残らない
投資家が取るべき対策
- 契約書と登記簿の照合: 必ず両者を確認
- 市場価格の調査: 物件名で検索して相場を把握
- 専門家への相談: 目利きができる人に見てもらう
- ワンルームは避ける: 特に3タ目契約のワンルームは危険
滝島氏からのメッセージ
「皆さんの目利き、皆さんができないなら目利きしてくれる人を探しましょう。」
この動画は、不動産業界で広く行われている「3タ目契約」の実態を暴露した重要な警告です。特にワンルームマンション投資を検討している方は、必ず契約書と登記簿を照合し、市場価格を調査してから判断しましょう。

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