【2026年2月版】ROS 2最新動向まとめ|Kilted Kaiju・Zenohミドルウェア・ロボティクス開発の実践ガイド

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【2026年2月版】ROS 2最新動向まとめ|Kilted Kaiju・Zenohミドルウェア・ロボティクス開発の実践ガイド

はじめに

ロボティクス開発の標準フレームワークであるROS 2は、2025年5月にリリースされた「Kilted Kaiju」を最新バージョンとして、2026年に入っても活発な進化を続けています。ZenohミドルウェアのGA(一般提供)、ナビゲーションメッセージの拡張、NV12画像フォーマットサポートなど、実用性を大きく向上させる機能が数多く含まれています。

この記事では、ROS 2の最新リリース状況、Kilted Kaijuの主要な新機能、そしてJazzy(LTS版)との使い分けについて、英語圏の公式情報をもとに詳しく解説します。ロボティクスエンジニアやROS 2開発者はもちろん、ロボット開発に興味のある方にも役立つ内容です。

ROS 2ディストリビューションの現状

ROS 2は毎年5月23日(World Turtle Day)に新しいディストリビューションがリリースされる慣例があります。2026年2月現在のディストリビューション状況は以下の通りです。

Jazzy Jalisco(2024年5月リリース):LTS(長期サポート)版で、2029年5月までサポートが継続されます。安定性を重視するプロダクション環境に推奨されます。最新のバイナリパッケージはPatch Release 7(2025年1月28日)です。

Kilted Kaiju(2025年5月リリース):最新の標準リリースで、2026年11月までサポートされます。最新の機能を試したい開発者やリサーチ用途に適しています。

Kilted Kaijuの主要な新機能

Zenohミドルウェア 1.0 GA

Open Roboticsのブログによると、Kilted Kaijuの最も重要な変更点の一つが、Zenohミドルウェアの1.0リリースです。

“Kilted Kaiju is the 1.0 release of Zenoh middleware, which provides full support for Zenoh binaries and is expected to be more efficient and secure compared with the current DDS middleware.”
(Kilted KaijuはZenohミドルウェアの1.0リリースであり、Zenohバイナリの完全サポートを提供し、現在のDDSミドルウェアと比較してより効率的で安全であることが期待されている)

従来のDDS(Data Distribution Service)に代わるZenohは、軽量で高効率な通信を実現し、特にリソースが限られたエッジデバイスやIoT環境でのロボット開発に大きなメリットをもたらします。

ナビゲーションメッセージの拡張

新しいメッセージタイプnav_msgs/msg/Goalsが導入され、複数のナビゲーションゴールを一つのメッセージで送信できるようになりました。これにより、ウェイポイントナビゲーションや巡回パスの設定がよりシンプルに実装できます。

NV12画像フォーマットサポート

ハードウェアデバイス(カメラやGPU)で一般的に使用されるNV12エンコーディングをネイティブサポートするようになりました。The Robot Reportはこの変更について報告しています。

“Kilted Kaiju now supports NV12, a common and efficient way of encoding image data that is commonly used by hardware devices like cameras and graphics cards.”
(Kilted KaijuはNV12をサポートするようになった。NV12はカメラやグラフィックカードなどのハードウェアデバイスで一般的に使用される効率的な画像エンコーディング方式である)

これにより、カメラからの画像データを変換せずに直接処理できるようになり、画像処理パイプラインの効率が大幅に向上します。

Windowsサポートの改善:Pixi対応

KilledKaijuでは、WindowsでのROS 2インストールにPixi(prefix.dev)とCondaをデフォルトのインストールメカニズムとして採用しました。従来のWindowsセットアップの複雑さが大幅に軽減され、より多くの開発者がWindows環境でROS 2開発に取り組めるようになっています。

Jazzy Jalisco(LTS)の最新動向

安定版であるJazzy Jalidcoも継続的にパッチリリースが行われています。

Gazebo Harmonic統合

JazzyではGazebo Harmonicが推奨シミュレーターとして指定されています。Open Roboticsは各ROS 2リリースに対して特定のGazeboリリースを推奨する方針を取っており、シミュレーション環境の選択をよりシンプルにしています。

ROSBagサービスログ

Jazzyでは、サービスコールの直接ログとリプレイがROSBagファイルで可能になりました。これは長年見過ごされていた機能の追加であり、デバッグやテストのワークフローを大きく改善します。

ros2_controlの進化

ros2_controlフレームワークも2026年2月のドキュメント更新が続いており、ハードウェアインターフェースの管理がより洗練されています。

実践手順:ROS 2 Kilted Kaijuを始める

ステップ1:環境の準備

Ubuntu 24.04(推奨)にROS 2 Kilted Kaijuをインストールします。

sudo apt update && sudo apt install -y software-properties-common
sudo add-apt-repository universe
sudo apt update && sudo apt install curl -y
sudo curl -sSL https://raw.githubusercontent.com/ros/rosdistro/master/ros.key -o /usr/share/keyrings/ros-archive-keyring.gpg
echo "deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/usr/share/keyrings/ros-archive-keyring.gpg] http://packages.ros.org/ros2/ubuntu $(. /etc/os-release && echo $UBUNTU_CODENAME) main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/ros2.list > /dev/null
sudo apt update
sudo apt install ros-kilted-desktop

ステップ2:Zenohミドルウェアの設定

デフォルトのDDSからZenohに切り替える場合は、環境変数を設定します。

export RMW_IMPLEMENTATION=rmw_zenoh_cpp

ステップ3:基本動作の確認

source /opt/ros/kilted/setup.bash
ros2 run demo_nodes_cpp talker &
ros2 run demo_nodes_cpp listener

ステップ4:Gazebo Harmonicとの連携

シミュレーション環境を構築して、ロボットの開発・テストを開始します。

よくある質問(FAQ)

Q: JazzyとKilted Kaijuのどちらを使うべきですか?

A: プロダクション環境にはLTSのJazzy(2029年までサポート)を、最新機能を試したい開発・研究用途にはKilted Kaiju(2026年11月まで)を推奨します。

Q: ZenohとDDSの違いは何ですか?

A: Zenohは軽量で低レイテンシーの通信を実現するプロトコルで、特にエッジデバイスやクラウドロボティクスに適しています。DDSは実績のある産業用プロトコルで、幅広いベンダーサポートがあります。

Q: ROS 2は商用利用できますか?

A: はい、ROS 2はApache 2.0ライセンスで、商用利用に制限はありません。

Q: 次のROS 2リリースはいつですか?

A: 2026年5月23日にリリース予定です。慣例に従い、新しいディストリビューション名が発表される見込みです。

まとめ

ROS 2は2026年に入っても着実に進化を続けています。Kilted KaijuでのZenohミドルウェア1.0 GAリリースは、ロボティクスの通信基盤における大きなパラダイムシフトを示しています。NV12画像サポートやナビゲーションメッセージの拡張など、実用的な機能強化も見逃せません。

一方、LTSのJazzy Jalidcoも安定したアップデートを続けており、プロダクション環境での信頼性は折り紙付きです。用途に応じて適切なディストリビューションを選択し、ロボティクス開発を加速させていきましょう。

参考資料

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