【2026年2月版】ROS 2最新動向|Kilted Kaiju新機能とLyrical Luth開発ロードマップを徹底解説

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【2026年2月版】ROS 2最新動向|Kilted Kaiju新機能とLyrical Luth開発ロードマップを徹底解説

はじめに、ロボティクスの標準プラットフォームであるROS 2(Robot Operating System 2)が2026年も着実に進化を続けています。現行の安定版リリースであるKilted Kaijiの成熟と、次期リリースであるLyrical Luthの開発が並行して進行中です。本記事では、ROS 2の最新動向、Kilted Kaijiの主要機能、そして2026年のロボティクス業界トレンドを詳しく解説します。

ROS 2は産業用ロボットから研究開発、教育まで幅広い分野で使用されるオープンソースのロボティクスフレームワークです。2026年に入り、AIとの統合、リアルタイム制御の改善、そしてクラウドロボティクスの発展など、エキサイティングな動きが加速しています。

ROS 2 Kilted Kaiju — 第11弾リリースの全容

ROS 2 Kilted Kaijiは、ROS 2の第11番目のリリースとして2025年5月23日に初期リリースされ、2025年7月28日にパッチリリース1が公開されました。

“Kilted Kaiju is the eleventh release of ROS 2.”
(Kilted KaijuはROS 2の第11番目のリリースである)
ROS 2 Documentation

Kilted Kaijiの名前はROS 2の伝統に従ったコードネームで、アルファベット順に「K」で始まる名前が付けられています(前リリースのJazzy Jaliscoに続いて)。

新パッケージとテスト機能

Kilted Kaijiでは、RMWベースの通信分離のためのテストフィクスチャを作成する拡張可能なメカニズムを提供する2つの新パッケージが導入されました。rmw_test_fixture_implementationパッケージは、適切な拡張機能の検出、ロード、呼び出しのためのエントリポイントを提供します。

これにより、ROS 2の通信レイヤーのテストがより体系的かつ効率的に行えるようになりました。ロボットシステムの信頼性向上において、テストインフラの充実は非常に重要な要素です。

重要な非推奨化と変更点

Kilted Kaijiでは、いくつかの重要な技術的変更が行われています。

CMakeマクロの非推奨化: ament_target_dependencies() CMakeマクロが非推奨となり、モダンCMakeターゲットを使用した target_link_libraries() への移行が推奨されています。これはROS 2のビルドシステムを現代的なCMakeのベストプラクティスに近づける重要なステップです。

fastrtpsからfastddsへのリネーム: 内部的に fastrtpsfastdds にリネームされました。ただし、RMW実装の名前自体は変更されていないため、ユーザーレベルでの影響は限定的です。

RTI Connext Micro RMWの段階的廃止: rmw_connextddsmicro パッケージはKilted Kaijiでアップデートの提供を停止し、将来のROS 2リリースで完全に削除される予定です。

ros2_controlの改善

ROS 2のハードウェア制御フレームワークであるros2_controlも、Kilted Kaijiに合わせて大幅な改善が行われています。Migration Guideによると、Jazzy(前バージョン)からKiltedへの移行において、コントローラーインターフェース、ハードウェアインターフェース、およびトランスミッションの各レイヤーで改善が実施されています。

次期リリース:Lyrical Luth(2026年5月予定)

ROS 2の次期リリースであるLyrical Luthは、2026年5月にリリースが予定されています。

“Lyrical Luth is the ROS 2 release expected in May 2026”
ROS 2 Distributions

Lyrical Luthは「L」で始まるコードネームを持つ第12番目のリリースとなります。ROS 2のRolling(常時最新版)ドキュメントのロードマップによると、以下の改善が予定されています。

  • パフォーマンスの最適化: 特にリアルタイムシステムでの応答性向上
  • セキュリティ機能の強化: DDS-Securityとの統合改善
  • ツールチェーンの現代化: ビルドシステムとデプロイメントワークフローの改善
  • ドキュメントの充実: チュートリアルとマイグレーションガイドの拡充

2026年のROS 2エコシステム動向

AIとロボティクスの融合

2026年のROS 2エコシステムにおける最大のトレンドは、AIとの融合です。大規模言語モデル(LLM)やコンピュータビジョンモデルとROS 2を組み合わせた研究開発が活発化しています。

具体的には以下のような取り組みが進んでいます。

  • LLMベースのタスクプランニング: 自然言語による指示をROS 2のアクションに変換
  • Vision-Language-Action(VLA)モデル: 視覚情報と言語指示からロボットアクションを生成
  • シミュレーション環境との統合: IsaacSim、Gazebo HarmonicとのAIトレーニングパイプライン

クラウドロボティクス

ROS 2のクラウドベースのデプロイメントも加速しています。AWSのRoboMaker、GoogleのCloud Robotics、MicrosoftのAzure IoT Hubとの統合が進み、エッジ(ロボット本体)とクラウドのハイブリッド構成が標準的なアーキテクチャになりつつあります。

マイクロROS

リソース制約のあるマイクロコントローラー上でROS 2を動作させるmicro-ROSプロジェクトも着実に成熟しています。ESP32やSTM32などの安価なマイクロコントローラーからROS 2ネットワークに参加できることで、IoTとロボティクスの境界がさらに曖昧になっています。

実践手順:ROS 2 Kilted Kaijiの導入

ステップ1:対応OSの確認

Kilted KaijiはUbuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)を主要プラットフォームとしてサポートしています。

ステップ2:インストール

# リポジトリの追加
sudo apt install software-properties-common
sudo add-apt-repository universe
sudo apt update && sudo apt install curl -y
sudo curl -sSL https://raw.githubusercontent.com/ros/rosdistro/master/ros.key -o /usr/share/keyrings/ros-archive-keyring.gpg
echo "deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/usr/share/keyrings/ros-archive-keyring.gpg] http://packages.ros.org/ros2/ubuntu $(. /etc/os-release && echo $UBUNTU_CODENAME) main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/ros2.list > /dev/null

# インストール
sudo apt update
sudo apt install ros-kilted-desktop

ステップ3:環境設定

# bashrcに追加
echo "source /opt/ros/kilted/setup.bash" >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc

ステップ4:動作確認

# 端末1: パブリッシャー
ros2 run demo_nodes_cpp talker

# 端末2: サブスクライバー
ros2 run demo_nodes_cpp listener

ステップ5:ros2_controlの導入

sudo apt install ros-kilted-ros2-control ros-kilted-ros2-controllers

よくある質問(FAQ)

Q1: ROS 1からROS 2への移行は必要ですか?

A1: ROS 1(Noetic)は2025年5月にEOLを迎えました。新しいプロジェクトではROS 2を使用することを強く推奨します。既存プロジェクトの移行もできるだけ早めに計画しましょう。

Q2: Kilted KaijiとJazzy Jaliscoの違いは?

A2: Kiltedはモダンなcmakeへの移行、テストインフラの強化、DDS関連の最新化が主な変更点です。Jazzyからの移行はMigration Guideに沿って進めることができます。

Q3: ロボット初心者でもROS 2を学べますか?

A3: はい、ROS 2の公式チュートリアルは初心者向けに丁寧に構成されています。TurtleSimシミュレータから始めて、段階的に学習を進められます。

Q4: ROS 2はどのようなロボットで使えますか?

A4: 産業用ロボットアーム、移動ロボット、ドローン、自動運転車、水中ロボットなど、ほぼすべてのタイプのロボットで使用されています。

Q5: micro-ROSはどのような場面で使いますか?

A5: センサーノードやアクチュエータノードなど、低リソースなマイクロコントローラーをROS 2ネットワークに接続したい場合に使用します。ESP32やSTM32などの安価なMCUで動作します。

まとめ

ROS 2は2026年2月現在、Kilted Kaijiの安定運用と次期Lyrical Luthの開発準備が着実に進んでいます。CMakeの現代化、テストインフラの強化、そしてDDS実装の整理といった地道ながらも重要な改善が、ROS 2プラットフォームの成熟度をさらに高めています。

AIとの融合、クラウドロボティクス、micro-ROSの発展により、ROS 2のエコシステムはかつてないほど広がりを見せています。ロボティクスに携わるすべてのエンジニアにとって、ROS 2のフォローアップは必須です。2026年5月のLyrical Luthリリースにも注目していきましょう。

参考資料

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